福岡県北九州市を中心に3店舗を構える白石書店は、教科書など学校販売におけるWEB上での購入申請やキャッシュレス決済等を提供するサービス「Raku-Buy」を開発した。年明け以降、教科書販売で繁忙期を迎える、金文会を中心とした書店10店で導入される予定だ。
販売・管理・コスト面でのメリット
同社は「RakuーBuy」導入において、販売面・管理面・コスト面でのメリットをあげる。販売面においては、購入者はサイト内でのクレジット決済、コンビニ払い、書店などの販売所での現金払いのいずれかの方法で決済することで、学校内で現金を扱うことによるトラブルやリスク、支払いや精算時の金額の間違いなどのヒューマンエラーを防ぐことができることをあげる。
またサイト上での購入時に、宅配での受け取り希望を選択することができるため、店頭や販売所、学校などを介することなく、商品の引き渡しができることも同サービスの魅力だ。白石書店では、これまで販売所で直接購入していた生徒のうち、3分の2が宅配購入を選択するようになった。
さらにこれまで販売所での直接販売の場合、購入者が来ない時間帯なども販売員が常駐していなければならず、スタッフのアイドルタイムが長かったという。同サービスの企画・開発責任者の白石書店の統括マネージャー・白石隆貴氏は「引き渡しや販売時間の大幅に削減することができ、その時間を梱包や発送業務などに集中できるようになった」と話す。
購入者と商品の照合も簡略化
一方、購入者が直接の引き渡しを希望する場合であっても、購入した生徒らには二次元バーコードが発行され、それを販売員が端末で読み取ることで、購入者情報や決済状況をその場で確認し、商品を引き渡すことができ、さらには引き渡し完了ボタンも実装しているため、購入者と商品の照合作業も大幅に簡略化される。
また管理面においても、学校を介さず直接、購入者がサイトで手続きをするため、氏名や住所などの基本情報と購入商品群のリスト化、売上管理、さらには未支払いや引き渡し済みなど、購入者ごとの取引ステータスも一覧化できる仕組みを実装している。
コスト面において、直接販売における受付業務や発送業務などのスタッフ作業量の節減、購入した基本情報が同サービスと提携しているヤマト運輸の発送伝票を自動出力できるフォーマットになっているなど、各業務の省力化で人件費の大幅な抑制にもつながる。
各手数料で収益にも貢献
収益面でも導入メリットがある。書店などの販売事業者は、配送料と運送会社に支払う手数料の差額で自社の収益となる。同サービスの宅配オプションプランで契約した場合、ヤマト運輸と新たに契約する必要はなく、集荷先と同地区での配達であれば、全国どこでも統一価格で利用することができる。
白石氏は、「本プランで契約した場合の配達個数の総数は、白石書店に集約される。そのため取り扱い個数が増えれば、当社がヤマト運輸に交渉し、配送手数料を下げることで、さらなる収益改善につなげることも視野に入れている」と話す。
また学校側からも現金を扱うことのリスクを解消できる点や、生徒の待ち時間や先生の対応時間の削減につながったなど、同サービスを評価する声が寄せられており、白石氏は「学校販売において今までないサービスで、導入となると不安になると思う。まずはスモールスタートで、1校かつ宅配希望者のみから利用していただき、どんなサービスなのか体験してほしい」と書店に呼びかける。