文化通信社セミナー2024 カルチュア・エクスペリエンス 鎌浦慎一郎代表取締役社長 体験型「コミュニティ型書店」作りとこれからの仕入モデル―カルチュア・エクスペリエンスの試み

2024年10月9日

 文化通信社は9月26日、「体験型『コミュニティ型書店』作りとこれからの仕入モデル―カルチュア・エクスペリエンスの試み」と題したセミナー(オンライン/リアル同時開催)を実施した。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)グループが2023年10月に設立したカルチュア・エクスペリエンス(以下CX)の鎌浦慎一郎代表取締役社長を講師として、同社の取り組み事例やこれからの書店作りなどについて紹介した。

 

リアル会場で書店作りについて語る鎌浦氏

 

 CXはTSUTAYA専用の物流会社として出版物を流販一体となってしっかりと届けていくことを戦略のキーポイントとし、「リアルな体験価値」を顧客に提供するためにスタートしたと話す鎌浦氏。今年、CCCグループでは基本の型を守りながら既存の枠組を突破し、新しい価値を生み出す原理原則「守破離」を方針とし、創業の原点である「TSUTAYAはライフスタイルを提案する場」という「守」、「破」として書店主導の出版流通改革実現に向けて設立されたブックセラーズ&カンパニーのスタート、そして、地域に交流を生む新しい時代の体験型書店にチャレンジするというCXの立ち上げが「離」であると話した。

 

 CCCグループではワクワクドキドキを追求する消費行動をチャンスとし、人が集い、つながる場所作りに優位性があると考えているという。それらを実現させた好例として24年4月に体験型書店としてリニューアルオープンした「SHIBUYA TSUTAYA」を挙げ、同店の売上は全体で前年比平均136%、また売上の半分以上が10~20代によるものという若年層の取り込みもできていると話した。なかでも出版社やクリエイターと一緒に限定商品を作り、売り場の8~9割で売る共同企画のIP書店は、ファンに好評を得て初月は約2億円もの売上を実現した。

 

 また、TSUTAYAでは売り場が大事だと考えていることから、店内の一等地に全ジャンルの本を面で展開し、立ち寄った客の欲しいものが瞬時に見つかる“売り切り売り場”に挑戦しているとも話す。さらに、TSUTAYA独自の取り組みとして書店員をコンシェルジュと定義し、20店舗でコンシェルジュ文庫を展開するなど、AIによる選書とは違った人の温もりやおすすめの熱量を届けていることにも触れた。

 

 最後に鎌浦氏は、小売業の現場として本をしっかりと売りながら出版物が紙にとどまらず、ファンのもとに届きその体験が素晴らしいものになるように尽力したいと締めくくった。

 

〈今後の予定〉

□10月10日(木)15:00〜16:30、ブックセラーズ&カンパニー代表取締役社長の宮城剛高氏による『直接取引で書店の未来を拓く挑戦 ―ブックセラーズ&カンパニーの現状と見通し― 』をオンラインで開催する。申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4084237

▽販売期限: 2024/10/10 12:00:00 ※コンビニ / ATM でのお支払いは、2024/10/09 で締め切られます。

 

□10月31日(木)15:00〜16:30、メイツユニバーサルコンテンツ代表取締役社長・大羽孝志氏と代表取締役副社長中村有太氏による「安定成長を続ける小規模出版社―市場に対応する商品作りと営業手法」をオンラインで開催する。申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4138888