6出版社共同で 第11回「教養文庫コラボフェア」 書店からの受注開始

2024年10月16日

 

教養文庫コラボフェア_ヘッダーのサムネイル

 

 教養文庫シリーズを持つ出版社による恒例の共同フェア第11回「教養文庫コラボフェア」の受注が始まっている。旧フェア名の〝チチカカコヘ〟から10年が経過し、書店店頭で定番となっているコラボフェア。今回から朝日新聞出版と早川書房が加入し、KADOKAWA、河出書房新社、中央公論新社、平凡社の計6社が参加。「6社編集長が本気で推す!」をメーンタイトルに、各社のロングセラーを中心に展開する。注文の締め切りは10月31日(最終は11月15日)まで。フェアは来年1月下旬からスタートする。

 

 参加するのは朝日新聞出版「朝日文庫」、KADOKAWA「角川ソフィア文庫」、河出書房新社「河出文庫」、中央公論新社「中公文庫」、早川書房「ハヤカワ・ノンフィクション文庫」、平凡社「平凡社ライブラリー」の6レーベル。前回から筑摩書房が抜けたが、2社が新たに加わった。

 

 朝日新聞出版と早川書房が加わったことで、これまで以上に出版社ごとの特性を生かした幅広い切り口、テーマによる選書が可能になった。これまで多くの読者に読み継がれてきた作品、実売実績がある作品を中心に各レーベルが8冊ずつをピックアップ。書店には48点×各3冊=計144冊の「Aセット」(セット予価15万135円)と、24点×各3冊=計72冊(同7万2660円)の「Bセット」を用意している。いずれも3カ月延勘で1月下旬に搬入する予定。

 

 オリジナル拡材として、今回も全社共通のフェア帯を作る。毎年恒例の「小冊子」も、引き続き作成する。全48タイトルについて6社の編集長がそれぞれ解説を書くなど、読み応えがあり、来店者にも人気が高い販促物だ。また、A4判のフェアパネル、編集長の手書き「オススメ」POPなども提供する。

 

実売増・返品率減の成果も

 

 前回の共同フェアには、全国の書店417店が参加した。コラボフェアを実施した店舗では、前年同月比のPOS伸長率が292%となったほか、商品搬入から3カ月間の実売も前年比112%(いずれも参加4社の実績)と大きく伸びた。また、フェア商品の返品率が低いのもこの企画の特長だ。

 

 参加した書店からは、「売上に結びついた」「実施時期がちょうど良かった」「オリジナル小冊子を楽しみにしている読者が多数いる」「新鮮味はないが安定感のあるフェアだった」といった好意的な意見が多数寄せられているという。

 

 早川書房営業部の鈴木愛加係長は、「昨年はロングセラーを中心に選書し、実売増、返品率減などコラボフェアの成果があったと聞いている。今回もその流れを継続しつつ、(私たちを含めた)新たな枠組みで、幅広い読者層にアプローチしたい」と、書店へ参加を呼びかける。

 

 また、平凡社営業部の清田康晃販売1課主任も「コラボフェアの実施結果をみると、大手書店の実売はもちろん多いが、普段は学術系の文庫を置いていないような書店や、駅中や空港内など、いつもの販売チャネルとは異なる場所でも売上があがっている。(コラボフェア実施書店が)新しい読者との出会いの場になっている」と分析する。

 

 今回初めて参加する早川書房書籍編集部で「ハヤカワ・ノンフィクション文庫」編集長の山本純也氏は、「10年も続くコラボフェアで、各社の代表作や名作がラインナップされており、一人の読者としていつも注目していた。このフェアに仲間入りできたことは、とてもうれしい」と語る。

 

 出版社横断のフェアとして、各社の定番商品とともに、各書店で大きく展開されることに期待も大きい。「小冊子には、各編集長がコラボフェアで並ぶ本のおすすめポイントを分かりやすく書いている。一見難しい本が並んでいるかもしれないが、小冊子も参考に、ぜひ若い人たちやこれまで読んでこなかった人にも、手にとってもらえれば」と願っている。

 

 書店からの注文は平凡社営業部、FAX=03(3230)6587まで。問い合わせは早川書房営業部(鈴木氏)、電話=03(3254)1554まで。