株式会社トーハンは10月17日、小型書店の開業をサポートする少額取次サービス「HONYAL(ホンヤル)」をスタートした。書籍販売への新規参入を促し、人と本とのタッチポイントを増やすことで、無書店自治体の増加などの課題解決を目指す。WEBサイトを通じてサービス概要を公開し、随時開業相談を受け付ける。
「HONYAL」の取扱いは書籍の注文品のみ、返品は仕入額の15%まで、配送は週1回とすることで、流通フローを簡略化してコストを削減し、従来は口座開設に至らなかった少額取引先と持続的な取引可能なスキームを実現する。
取引条件では、連帯保証人や信任金(取引保証金)を不要とし、通常は開業時に一括払いとなる初期在庫費用も分割払いの相談に応じる。
一方で、通常の取引書店と同じ国内出版社約3000社以上からの商品調達が可能で、トーハン桶川センター(桶川市)で注文に対応し、保有在庫70万点、500万冊からピッキング、非在庫品は出版社へ発注される。トーハンの配送網を活用して全国エリアに対応。ほとんどのエリアで、一般的な書店と同程度のマージン率(書店粗利益率)を提供する。
対象とする店舗の想定月商は30万円~100万円。小型書店の開業とともに、飲食店・ヘアサロンなど他業種店舗での書籍販売、また公共施設や一般企業との連携も視野に入れる。
同社では一般的な書店の減少が続く一方で、個人が開業するような小型書店は2024年10月現在で341店(同社調べ)に達しているとし、「こうした書店では取次との取引がない(あるいは取引開始に至らなかった)ケースも多いと考えられる」と指摘。社内のプロジェクト「BookBoostLab.」が中心となって調査を行い、ハードルとなる要素を精査し、既存のスキームを見直し、持続可能なビジネスモデルの具体化に取り組んだという。