アルク 550万部突破の「キクタン」 初のご当地本を刊行

2024年10月23日

 

語学書で観光地の課題解決

 

 語学書を中心に出版事業を展開するアルクは、累計発行部数550万部突破の英単語本「キクタン」シリーズで、初のご当地本『キクタン英会話【京都編】』を10月16日取次搬入、初版5000部で刊行した。

 

 「キクタン」は“聞く”と“単語”を掛け合わせた造語で、「チャンツ」と呼ばれる独特のリズムで英単語を学ぶことができる。それまでテキストで学ぶことが主流であった英語学習書市場において、音声学習本として先鞭をつけたシリーズだ。

 

 今回、同シリーズで初となる地域に特化した「京都編」だが、企画立案者で同社・執行役員の吉村博光氏は「京都をはじめ、観光各地に多くの外国人観光客が訪れることは喜ばしい一方で、混雑の問題や地域住民とのコミュニケーションエラーなどさまざまな課題を抱えている。社会課題を解決することが出版事業だと考えており、本書を通じて少しでも、京都の方が抱える課題解決につなげることができれば」と企画した背景について語る。

 

具体的なシチュエーションを想定した英会話

 

 同シリーズからはすでに「おもてなし編」が刊行されているが、今回の「京都編」は、“生八ツ橋”や“清水寺”など固有名詞も京都独自の単語を採用。また観光名所への道のりを聞かれた際の対応や、角を立てずに注意喚起する言い回しなど、外国人観光客との具体的なやりとりを前提とした英会話を収録している。

 

 同書を制作するにあたり、京都市と京都市観光協会からの制作協力を得て、職員たちが実際に体験した外国人観光客とのシチュエーションについて、細かくアンケートをとったという。編集を担当した永井薫氏は「あいさつだけではなく寺社の由来を伝えたいなど、京都ならではの要望を聞くことができた。また不快な気持ちにさせずにこちらの意図を伝えたいという声が多く、そのためカジュアルなフレーズではなく、きちんとしたセンテンスで、より丁寧な会話文を意識した」と編集面でも工夫を凝らす。

 

BOOKEXPOの目玉商材

 

 同社は11月12日に開催されるBOOKEXPO2024年へ出展予定で、同書を今回の目玉商材として推す。それにともない、大垣書店烏丸三条店ではショーウインドウ広告を掲出。またふたば書房八条口店での大型展開をはじめ、その他京都府内の書店を中心に販売促進をかけるとともに、10月21日には京都新聞に全三段カラー広告を掲出した。

 

 プロモーションを担当する石川実奈氏は「語学書の棚はもちろん、旅行ガイド書コーナー等での展開もおすすめ。今回、推薦をいただいた吉岡里帆さんの写真を使用した各種拡材なども用意しており、また京都のメディアを中心にパブリシティの準備も進めている」と話す。

 

 これから紅葉のシーズンを迎える京都に特化した英会話本ということもあり、今後さらに同書への注目度は高まるだろう。

永井氏(右)と石川氏