文化通信社は11月11日、全国の市町村単位を発行エリアとする地域紙(ローカル紙)の優れた記事および記者を表彰する第4回「ふるさと新聞アワード」の授賞者を発表した。最優秀賞には「丹波新聞」(兵庫県丹波市)のシリーズ記事「能登半島ルポ~激震の爪痕の中で」が選ばれた。そのほか、優秀賞3件、準優秀賞10件に授賞する。11月29日に東京都内で贈呈式を開催する。
全国の地域紙70紙から選定
同アワードは2021年から毎年開催している国内唯一の地域紙のための賞。全国の地域紙が集まる図書館「ふるさと新聞ライブラリー」(文化通信社内)にある70紙を対象に選定。新聞やメディアについて研究する大学教授らによる「有識者専門委員会」の委員6人が、70紙の半年分(24年1月1日付~同6月30日付)の記事を手分けして読み、各地域紙から自薦された記事を含めたうえで、それぞれベスト10を選出。それらをほかの5人の委員とも共有し、最終的に30本まで絞った。その後、審査員5人による最終審査をもって受賞者を決定した。
最優秀賞の丹波新聞の記事は、今年元日に発生した石川県能登半島地震の後、遠く兵庫県丹波市の地域紙の記者が、能登在住の丹波地域出身者への取材や、事前に連絡を取り合いつながっていた人たちから求められた物資を届けるために、現地入りして書いたルポ。
「けたたましく音を立てながら民家の一部が崩れ落ちるリードから引き込まれ、全4回を一気に読むと、1月下旬の『奥能登』の様子がありありと浮かんできた。映像で見る以上の情報量が込められており、そこで暮らす人たちの表情や声の描写によって、苦しみが伝わってきた」(審査員・山崎まゆみ氏)など、各委員が高く評価した。
受賞者らを招く贈呈式を11月29日、東京·台東区の「東天紅 上野本店」で開催する。第4回審査員、有識者専門委員会委員は次の通り(敬称略、五十音順)。
▼審査員
▽翁百合(日本総合研究所理事長、政府税制調査会会長)▽加来耕三(歴史家・作家)▽小山薫堂(放送作家・脚本家)▽高橋俊宏(ディスカバー・ジャパン代表取締役)▽山崎まゆみ(温泉エッセイスト)
▼有識者専門委員会委員
▽清水一彦(文教大学教授)▽仙石伸也(元日本新聞協会)▽高橋茂男(元日本テレビ放送網)▽塚本晴二朗(日本大学教授)▽富川淳子(跡見学園女子大学教授)▽本多悟(江戸川大学教授)