文化通信社は12月5日、オンランセミナー「朝日新聞グループ入りしたニュートンプレス〜M&Aから1年の現状と評価〜」を開催した。ニュートンプレス代表取締役・松田洋太郎氏が、最初の100日間で取り組んだことから現状と今後の課題までを語った。
松田氏はまず「M&Aの現場では何か起きている?」というテーマを展開。ほぼ全員が「聞いてないよ!」という状態からのスタートのなか、従業員、顧客、取引先、世間一般からのさまざまな疑問解消、イメージ低下を防ぐために、先回りした情報発信+対象ごとの的確なメッセージが必要だったと話した。さらに、M&Aが成約した日の9時から20時までを「ドキュメント11時間」として提示し、その日のための事前準備についても説明した。
「最初の100日間で取り組んだこと」として、M&Aは成約日からが本番であること、成約前に見込んだ「シナジー」が得られるかどうかはPMI(Post Merger Integration/経営統合プロセス)次第であることを解説。同じ業種でも企業文化などが異なること、株主が代わっただけでは業績は向上しないことを説明した。そこで、成約日をDay1として「PMI 100日プラン」を計画・実行するための「連携委員会」を立ち上げて各項目の統合を行ったと語った。
またニュートンプレスの強みと弱みを「100日間で見えてきたもの」として紹介。科学コンテンツと知見を朝日新聞グループへ還元できることを強みとし、営業体制の脆弱さなどを弱みとした。朝日新聞グループのリソースをフル活用できることがM&Aのメリットの一つだと話した。
朝日新聞グループとの連携として、朝日新聞デジタルへの記事配信、イベント連動の別冊発行、会場販売、オンライン配信、ポッドキャスト出演、小学生新聞、中高生新聞へのコンテンツ提供などの成果をあげた。また、朝日新聞出版とは、書店営業を一部業務委託、図書館向けカタログを共同製作・配送、編集やコンテンツ連携も徐々に進めていると説明した。
「 M&Aから1年の現状と評価」ではPMIは非常に順調であること、朝日新聞社、特に編集・広告部門との協業体制が確立されていることを高く評価した。また、想定よりも遅れたものの朝日新聞出版との営業連携が今秋より本格スタートしたことでフェア受注数が大幅に増加したと説明。デジタル展開については未着手であるが来年にはスタートさせたいと展望を語った。
今後の課題として、デジタル展開、営業体制の強化、人材の安定確保、ブランドビジネス、親会社とのさらなるフュージョン、シェアードサービス、物価高対策をあげた。最後に「完璧ではないが、すこぶる順調です」とM&Aからの好調さをあらためてアピールした。
〈今後のオンラインセミナー〉
□1月23日15:00〜16:30、トーハン海外事業本部部長・五十嵐正孝氏による「拡大する海外出版ビジネス―日本出版物海外展開の現状と可能性」を開催する。申し込みは