書店新風会は12月6日、第59回新風賞を『成瀬は天下を取りにいく』(著・宮島未奈/新潮社)に贈ることを発表した。特別賞は、『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(著・彬子女王/PHP研究所)。新風会に所属する書店31社、538人の書店員が一人3冊ずつ投票、上位10作品を選定し、11月に行った役員会で決定した。大垣守弘会長(大垣書店)が受賞作を発表し、選考の経緯を説明した。
『成瀬~』はデビュー作ながら今年最も売れた本であり、本屋大賞をはじめ数々の賞を受賞、空前絶後のベストセラーとなっている(12月6日現在、新風賞を含む18冠)。続編の『成瀬は信じた道をいく』にも多くの票が集まり、著者の宮島さんの出版活動の熱心な取り組みや書店への協力的な姿勢も高く評価された。奥野康作副会長(ブックエース)は、「作品に出てくる西武百貨店は思い出の場所」と明かした。舞台となった滋賀県大津では、聖地巡礼をするなど社会現象となっており、観光客や駅の乗降客数の増加など、地域活性化に貢献している。新潮社の受賞は第56回以来8回目。
特別賞の『赤と青~』は、2015年に単行本として刊行されたものが23年にSNSで“バズり”、文庫化された。PHP研究所が特別賞を受賞するのは初めて。贈賞は25年1月8日に予定している新年総会・懇親会で実施予定。