経済産業省 大臣直轄「書店振興PJ」設置
斎藤健衆議院議員が経産産業大臣のとき、同省内に設置した「書店振興プロジェクトチーム」に注目と期待が集まった1年だった。齋藤氏が閣議後の会見で「街中の書店は、多様なコンテンツに触れられる場として地域に親しまれ、創造性が育まれる文化創造基盤として重要。しかし、書店が近年激減、約4分の1の自治体から消え、危機感を持っている」と述べ、PJ構想が明らかになった。
「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」の立ち上げメンバーでもある齋藤氏はPJ設置後、自ら各地で書店視察や出版関係者との車座ヒアリングを実施。書店経営の問
題点を集約し、打ち出す支援策の検討を進めた。
7月には文化通信社主催の「活字文化フォーラム」に登壇し、文字・活字文化推進機構の山口寿一理事長(読売新聞グループ本社社長)や韓国の「本と社会研究所」の白源根(ベク・ウォングン)代表らと書店振興の具体策などについて議論を交わした。
BOOK MEETS NEXT 100超のイベント
読書推進月間「BOOK MEETS NEXT2024」は10月26日から11月24日までの30日間、全国9都市で100以上のイベントを実施、参加書店は3000店を数えた。
今年は子ども向けの企画も多数用意し、「神保町ブックフェスティバル」や「ブックオカ」(福岡)など従来の読書イベントとも連携を図った。大人を対象にした「TOKYO BOOK NIGHT」、山梨県では「YAMADOKU BOOK FEST」、京都では謝恩価格販売なども開催され、老若男女、読書家から日頃あまり本を読まない人まで幅広い層が「読書の秋」を楽しんだ。
能登半島地震 現地書店も大打撃
元日に発生した能登半島地震では石川県や富山県の書店も甚大な被害を受けた。休業や閉店を余儀なくされた書店も多く、本の配送にも大きな影響を及ぼした。販売会社は取引書店再建のため直後から現地応援に入り、奔走。各業界団体も義援金を募るなど支援の輪は広がりを見せた。
文化通信社は富山、石川で展開する文苑堂書店・吉岡幸治社長に当時の状況について取材(本紙2月6日付に掲載)。震度5強クラスの揺れに襲われた店舗では、商品が棚から落下、天井損壊、ガラス破損、スプリンクラ―誤作動による水浸しなど大打撃を受けたが、販売会社、書店新風会メンバー、親交ある書店らが数十人規模で駆けつけ、短期間で営業再開を果たした。
雑貨、カフェなど多角展開する同社だが、吉岡社長は「応援に来てくれたのは出版界だけ。他業界にない強固な結束を実感できた。頼もしい業界で仕事ができていることを誇りに思う」と感謝の言葉を残している。
ブックセラーズ&カンパニー本格始動
紀伊國屋書店、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、日本出版販売が2023年10月に、直仕入れスキーム、適正仕入れを実現して、書店の売上および粗利向上を目的に設立した共同出資会社「ブックセラーズ&カンパニー」(BS&CO)が本格始動した。
今年3月から三笠書房、スターツ出版、徳間書店、主婦の友社の4社と販売・返品をコミットする直仕入取引をスタート。現在、販売コミットモデルの契約出版社は12社、参画書店数は約570店舗まで広がりを見せている。参加書店の多くが粗利益率が向上し、売上も前年を上回っているという。参画書店の粗利益率、返品率の改善状況などBS&COのホームページやメールマガジンを通じて定期的に情報を公開している。