野間四賞贈呈式 野間出版文化賞に新潮文庫『百年の孤独』と『ちいかわ』ナガノ氏

2024年12月27日

 

野間四賞を受賞した各氏とキャラクター

 

 野間文化財団主催の野間四賞の贈呈式が12月17日、東京都内のホテルで開かれた。各賞の受賞者に、講談社・野間省伸社長から賞牌と賞金が手渡された。

 

 第77回「野間文芸賞」は中村文則氏の『列』(講談社)が、第46回「野間文芸新人賞」は豊永浩平氏の『月(ちち)ぬ走(は)いや、馬(うんま)ぬ走(は)い』(講談社)が、第62回「野間児童文芸賞」は長谷川まりる氏の『杉森くんを殺すには』(くもん出版)がそれぞれ受賞した。

 

 出版にまつわる優れた表現活動を行った個人・団体に贈られる第6回「野間出版文化賞」には、今年6月に発売されたガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』文庫版が、約4カ月で36万部の大ヒットを記録した「新潮文庫 ガルシア=マルケス『百年の孤独』プロジェクトチーム」と、代表作『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』の作者でイラストレーター、漫画家のナガノ氏が受賞した。また、同特別賞には、今年連載30周年を迎えた『名探偵コナン』の作者で漫画家の青山剛昌氏に贈られた。

 

 贈呈に続き、各賞の選考委員があいさつ。野間文芸賞は町田康氏が、野間文芸新人賞は川上弘美氏が、野間児童文芸賞は富安陽子氏が、野間出版文化賞は林真理子氏がそれぞれ受賞理由などを話した。

 

 受賞者のあいさつで、野間児童文芸賞を受賞した長谷川氏は「『杉森くんを殺すには』というタイトルは、最初のプロットをつくったときから決まっていた。とはいえ、児童文学なので変えてほしいと言われると思っていた。作品の力を信じて、そのまま通してくれたことに感謝している」と語った。

 

 また、「私はこの本を子ども向けとしてではなく、ヤングアダルト(YA)向けとして書いた。私は日本のYAが少し子ども向けすぎると思っている。本来読んでもらいたい若者たちに、YAが届いていないのではないかと少し心配している。児童文学は卒業したと思っている世代に、ぜひYAという分野を知ってもらいたい。しかし、今はその知名度が低い。個人的には大学生ぐらいまでがYAの対象だと思っている。メディアにはもっとYAを知らしめるような発信をお願いしたい」と訴えた。