日販 世界最大の無印良品店舗内に直営の「橿原書店」 持続可能な書店経営の新モデル提案

2025年1月20日

 

店舗のイメージ写真(日販提供)

 日販グループホールディングスと日本出版販売(日販)は1月20日、3月1日から順次、増床リニューアルオープンする「イオンモール橿原(かしはら)」(奈良県橿原市)内にできる世界最大面積の無印良品に、書店と無印良品をシームレスに繋ぐ共創型モデル店舗として、日販が直営する新たな書店「橿原書店」を同日に開業すると発表した。日販は、「橿原書店を共創型モデル店舗の1店舗目と位置づけ、今後は全国津々浦々の書店とともに、出店拡大することを目指す」としている。

 

 橿原書店は、世界最大となる売り場面積2484坪の無印良品店舗内に出店。書店としての専有部分だけでなく、無印良品売場の各エリアでも本や地域商材を陳列・販売し、シームレスに商品を手にとることのできる店づくりを行うという。また、地域と人々の暮らしに根ざしたイベントや地域事業活動などを通じて、「人と人、人と地域がつながり文化を創造する『地域のコミュニティセンター』としての価値を提供するとしている。

 

 橿原書店と無印良品で1フロアの広大な売場では、無印良品の商品群と書籍約10万冊をシームレスに売場に並べ、共通のレジで買い物できる。橿原書店には約5万冊の新刊、話題書、定番書をラインナップ。地域に必要な鮮度ある品揃えを提供する。店内には企画コーナーを常設し、地域の人々が気軽に参加でき、賑わう仕掛けづくりを行う。地域の子ども達に向け本を選書し紡いでいく企画や、地域のトピックを扱ったトークイベントなどを実施予定。

 

 また、「本と喫茶」エリアとして「Café&Meal MUJI」を隣接し、橿原書店との共用座席スペースで、読書とともに地域の食材を使ったメニューやコーヒーを楽しめるようにする。購入前の書籍も試し読みすることが可能。直線約100メートルのコンコースで約2万冊の本を販売するほか、木製遊具や芝生のある空間をつくり、約1万冊の絵本を販売する。奈良で創られた玩具などの体験・購入もできるようにする。

 

 日販は「書店数の減少に歯止めがきかない状況を受け、入場料のある本屋『文喫』や、書店経営を圧迫する人件費や後継者不足などの課題を解決する省人化ソリューションに着目した『ほんたす』の開発など、持続可能な書店経営のための新たなモデル開発に取り組んでいる」とした上で、「『店舗が地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域課題に対して取り組む』ことを使命に掲げる良品計画の店舗の在り方に共鳴し、無印良品の中で、書籍の販売はもちろん、地域の生活者が文化的に交流できる『コミュニティセンターとしての書店』を出店するに至った」と説明している。