PHP研究所は書店訪問の営業体制を強化する一方、書店へのメールやFAXなどの非接触型営業のスタッフを増員している。また新型コロナウイルス禍の2022年5月に、それまで自社で運営していた受発注サービスWEBかけはしから、インテージテクノスフィアが提供するBookインタラクティブに切り替えている。非接触型営業の組織体制やWEB受発注の現状について、同社・第一事業普及本部本部長の植田光太氏に話を聞いた。
非接触型営業に特化した部署を設立
同社は書店への非接触型営業、またネット書店への販促を目的としたeコマース推進部を2018年に立ち上げたが、このほど非接触型営業に特化した部署を販売企画課として独立・新設し、ネット書店の部署と切り分けた。同課はFAXやメールなどの営業活動に加え、注文書作成やフェアなどの販促企画とそのスケジュールも管理する部署で、現在サポートスタッフ含め3人が在籍しており、さらに今後1人を増員する予定だ。植田氏は「非訪問の書店営業を独立させたことで、フェアなどの販促企画など増売の機会も増えた」と組織改編の手応えを語る。
また受発注サービスについても、22年に基幹システムの入れ替えと同時にBookインタラクティブを導入。約20年前に自社開発したWEBかけはし稼働時と比較して、WEBでの受注部数が倍増した。また切り替えによる効果は売上だけではなく、書店からの電話対応件数も減少したことで、社員の業務改善にもつながったという。植田氏は「WEBかけはしは約3000ユーザーの書店に登録していただいていたが、あくまで弊社のみの発注。複数の出版社が契約しているBookインタラクティブは、利用書店の絶対数が多いと実感した」と話す。
FAX受注とWEB受注の特徴
一方でFAX注文部数・件数については、ナショナルチェーン、個人書店など店舗規模の大小に関わらず、今も一定数の受注があるという。植田氏はFAXとWEBでの受注について、Bookインタラクティブでは新刊指定の注文を受け付けていない点に触れつつ、「Bookインタラクティブは発刊1年以内の商品の補充や客注が大きな割合を占め、1件あたり1冊の受注が50%以上を占める。かたやFAXは発刊後1年以上経つ商品の受注割合が多く、1件あたりの受注冊数も2~5冊の注文が60%以上」としたうえで、「FAX注文書による案内は、パブや重版などが中心になるからか、仕掛けようとする書店の意思を感じる」と話す。
また同社はBookインタラクティブ上でもパブ・重版などの販促情報を、週次で発信している。植田氏は「Bookインタラクティブ上で情報を見ていただき、その場で注文していただくことが業務上お互いにとって理想的。今後は販促情報をアップする頻度を高めていきたい」と話す。なお植田氏は2月14日にインテージテクノスフィアが開催する出版POSサービス・Bookインタラクティブのユーザー会で、現状での利用状況等について講演する予定だ。