朝日新聞社と中国新聞社、長崎新聞社は1月24日、被爆80年という大きな節目を迎える今年、ノーベル平和賞を受賞した被爆者団体「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」の協力を得て、3社合同での「全国被爆者アンケート」を実施することを発表した。平均年齢が85・58歳に達するなど、被爆者の高齢化が進む中、「ひとつでも多くの証言を伝えるため、3社で連携することにした」としている。
アンケートでは、被爆の状況やその後の心身への影響について尋ねるほか、被爆体験の継承や核廃絶への思いについて聞く。結果は3社で共有し、今夏の被爆80年に向け、それぞれコンテンツを作成していく。多様な媒体でコンテンツをともに発信していくことも検討しているという。
原爆報道に注力してきた3社は、過去にも被爆60年、70年といった節目の年に、被爆者を対象とするアンケートをそれぞれ実施し、その年の主要なコンテンツと位置づけて報道してきた。今回、朝日新聞社から被爆地を拠点とする中国新聞社、長崎新聞社に、合同アンケートの実施を提案。全国で最多の被爆者がいる広島県については中国新聞社が担い、それに次ぐ長崎県は長崎新聞社が担う。朝日新聞社はそのほかの都道府県を担当するとともに、アンケートの発送・回収の事務局を務める。
実施に際しての3社共同コメント
このたび、原爆報道に注力してきた3社で、合同被爆者アンケートを実施することとしました。このような取り組みは初めてのことです。日本被団協がノーベル平和賞を受賞した際、証言をはじめとしたその活動が「核のタブー」をかたち作ってきたと評価されました。それはひとりひとりの被爆者の方々によるものです。今回のアンケートではひとりでも多くの全国の被爆者の声に耳を傾け、記録として残すとともに、「核なき世界」を実現するために我々がどうするべきなのか、考えるよすがにできればと思っています。