小学館 新企画発表会 『小学一年生』100周年企画 駅メロディ変更は都営線初の試み

2025年2月20日

 小学館は2月4日、東京・千代田区の本社でメディア向けの「2025年 新企画発表会」を開催した。創刊100周年を迎える『小学一年生』をはじめ、9つの企画が各局担当者や著者自身から発表され、同社のアクセスビリティへの取り組みも紹介された。

 

 相賀信宏代表取締役社長は、『小学一年生』は小学館創立の1922年に小学五年生、六年生、その後全学年を出版したが、「現在残っているのは『小学一年生』のみ」とし、「100周年を迎えられたのは、雑誌として非常に意味のあること」と話した。

 

あいさつをする相賀社長

 

 『小学一年生』を担当する第一児童学習局の明石修一さんは、創刊100周年記念号(2月21日発売)のダブル付録や、創刊100周年記念ソング『ボクたちのスタート』(歌・山本彩)について紹介。また、発売日から一年間、都営三田線神保町駅ホームの電車到着メロディが「ピッカピカの~一年生♪」に変更されることを発表した。東京都交通局がメロディを変更するのは初の試みで、ホームドアに『小学一年生』の100年間を振り返るステッカー広告を50枚以上掲出する広告ジャック企画も実施する。

 

人気著者が自ら作品をアピール

 

 2月27日発売の『月とアマリリス』は、著者の町田そのこさんが登壇し、自身初となるサスペンスについて語った。主人公を事件記者としたことから、実際の記者に取材したという町田さんは、「2時間ほどの取材だったが、面白くて話がどんどん膨らみ、8割のプロットが出来上がった」と明かした。これまでA4一枚程度の短いプロットしか書いていなかったが、「今回は100枚を超えていた」とし、同作のスピード感は「自分にとって可能性が広がり」、作家として「もっといろいろなジャンルにチャレンジできるという新しい自信が得られた」と語った。

 

作品について語る町田さん

 

 4月16日に発売される『それいけ!平安部』は、著者の宮島未奈さんがビデオレターでメッセージを寄せた。滋賀・大津市在住の宮島さんは、琵琶湖名物の外輪船「ミシガン」をバックにしながら著書について語った。平安時代を愛する高校一年生の主人公が作った新しい部活「平安部」をモチーフにした青春小説。宮島さんは、「成瀬シリーズ同様、小学生からお年寄りまで楽しく読んでいただける作品」とアピールした。

 

 2月28日に刊行される写真家・石川直樹さんの『K2 Naoki Ishikawa』は、文化事業局の小坂真吾さんと石川さんが対談形式で発表。24年10月、中国チベット自治区のシシャパンマに登頂した石川さんは、写真家としては世界で初めて全14座(標高8000mを超える世界の山)を制覇した。なかでもK2は難所で、「2回失敗したのはK2だけ。3回登ったのは初めて」と石川さん。写真を見せながら、ふもとの町の様子やボトルネックと呼ばれる難所の説明をした。

 

 また、K2に挑んだ3回とも撮影に使用したブローニー(中判のフィルムカメラ)を持参し、「結構重くて、クレバスに落として帰ってこようかと思った」と吐露。「でも写真家として登っているのだという気持ちで、頑張って持って帰った」と話し、会場を沸かせた。

 

小坂さんと石川さん(右)

 

188万部突破、人気シリーズ最新作も登場

 

 4月10日発売(予定)の『大ピンチずかん3』は、第二児童学習局児童創作の村松茂さんがシリーズについて説明。「『大ピンチずかん』1と2は、2冊合わせて188万部を突破した」とし、絵本賞などは「2冊合わせて13冠」と驚異的な記録について発表した。

 

 続いて著者の鈴木のりたけさんが登壇し、中面を見せながら解説。新しく採用した“うっかりメーター”や大ピンチ調査、学校ネタを多く入れたことがポイントと紹介した。鈴木さんは、「大ピンチのネタは最初の一冊に詰め込んだつもりだったが、2が出て3も出ることになって、出がらしと思われるかもしれないが、作れば作るほど(ネタが)出てくる」と明かした。

 

画面を操作しながら説明する鈴木さん

 

 ほかに、『小学館の図鑑NEOアート はじめての国宝』(監修/青柳正規)、コロコロよみもノベルシリーズ『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』『ゾゾゾゾンビーくん 新種のゾンビが大増殖だゾ~!』『ケシカスくん ぶんぐかいとうケシカスくん』の3作品が紹介された。

 

 また、新しい取り組みとして、「小学館マンガアプリ FOR Nintendo Switch」を3月13日にリリースすることが発表された。24年のコロコロコミックアンケートでは、小学生のNintendo Switch所有率は約80%。『月刊コロコロコミック』は1冊100円で紙版の発売から約1カ月遅れで最新号を毎月配信する予定。

 

 ユニバーサルメディア事業局からは、1月24日にスタートした北米向けライトノベル配信アプリ『NOVELOUS』や「Sanrio Virtual Festival 2025 小学館Presents マツケン☆トシちゃん☆きらりん☆レボリューション SPECIAL LIVE」が紹介された。

 

 最後にマーケティング局アクセシブル・ブックス事業室の木村匡志さんから小学館のアクセスビリティへの取り組みが紹介された。

 

 同社1階に場所を移した懇親会では、見本誌を前に著者を囲んでにぎやかな交流が行われた。