【書店ソリューション特集】書店省人化ソリューション「ほんたす」 完全無人・ハイブリッド営業をパッケージで提供 日本出版販売株式会社

2025年3月18日

 日本出版販売株式会社(日販)は持続可能な書店モデル構築のため、書店の無人営業を可能にするソリューション「ほんたす」を開発した。完全無人書店に続き、有人・無人のハイブリッド型営業モデルもスタート。サービスをパッケージ化して取引先書店に向けて提案している。

 

完全無人書店は半年で黒字

 

 「ほんたす」導入1号店は2023年9月にオープンした完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」。LINEアプリで入退店を管理し、セルフレジでのキャッシュレス決済、ライブカメラによる遠隔サポート、警備会社との連携などを組み合わせて運営している。

 

完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」

 

 同店はオープン半年で黒字化を達成。そして当初懸念された商品ロスやオペレーション上のトラブルは皆無という実績をあげている。

 

 日販マーケティング推進部開発課係長兼ほんたすブランドマネージャー・南光太郎氏は、「店舗面積(15坪)と売上規模は小さい店ですが、無人運営の仕組みづくりについて手ごたえを得ています」と述べる。

 

南光太郎氏

 

ハイブリッドで営業利益率3.8ポイント改善

 

 そして、2024年9月に2号店として日販グループの「あゆみBOOKS杉並店 supported by ほんたす」を有人・無人のハイブリッド型でリニューアルオープン。10時から22時までは従来通り有人で営業し、早朝の8時から10時と、深夜22時から24時を無人営業で時間を延ばした。また、合わせてセルフレジ化によって、有人時間帯も2人から1人のオペレーションに移行した。

 

LINEアプリで入出店管理

セルフレジで決済。遠隔サポートも提供する(右下モニター)

 

 この結果、導入直後の10月1カ月間で売上高が前年同月比3.1%増、人件費が同50%減となり、営業利益率は同3.8ポイント改善。さらに今年2月時点の売上高前年比は5.5%増とさらに拡大し、既存店への導入による売上増、経費削減効果を実証している。

 

 現在、取引先書店などへの提案を進めているが、書店のニーズに合わせて完全無人型、ハイブリッド型、そして入店管理システム、セルフレジ、遠隔サポートなど機能を組み合わせて提供していく。

 

 導入コストはセルフレジ導入店であれば初期費用75万円、月額利用料2万円程度から。入店管理とセルフレジの導入であれば初期費用175万円、月額7万円程度から。1年半ほどをめどに投資回収できる設定にしているという。

 

書店ニーズに合わせトータルで提供

 

 「ほんたす」を導入するメリットについて南氏は「書店様のニーズに合わせて、セルフレジから遠隔サポート、運営体制づくりまでトータルにワンパッケージで提案できるのが当社ならではの特徴です」と説明する。

 

 そして、無人営業の導入については「ハイブリッドにすることで、書店員が本来の仕事である接客や売り場づくりなどに時間をかけることができる仕組みです」と説明。地方はもとより、首都圏でも続く書店の減少に歯止めをかけ、書店を持続可能にしていくために、これからもメニューの拡大などに取り組んでいく考えだ。

 


 

日本出版販売株式会社

創 業:1949年

資本金:1億円

所在地:〒101-8710東京都千代田区神田駿河台4-3

【問い合わせ先】

電 話:03-6316-2115

メール:hontasu_info@nippan.co.jp

 

 


【書店ソリューション特集 インタビュー】

 

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〈書店振興レポート〉

 

業界の現状と直面する課題 時勢と指標で読み解く、書店減少と出版市場