株式会社ウェッジ PUBNAVI導入で紙書籍・雑誌・電子の売上一元管理

2025年3月19日

 株式会社ウェッジは電子書籍の発行が増えたことで、光和コンピューターのクラウド型電子書籍管理システム「PUBNAVI」を導入。電子書籍の印税計算などを省力化するとともに、紙の書籍、雑誌と電子書籍の売上管理を一元化することができた。

 

新幹線車内誌『Wedge』創刊でスタート

 

 同社は東海道・山陽新幹線グリーン車社内に搭載されている雑誌『Wedge(ウェッジ)』を発行するため1989年にJR東海グループの出版社として創業。その後、1993年に書籍の刊行を開始し、2001年には雑誌『ひととき』を創刊。2009年にはウェブマガジン「WEDGE Infinity(現Wedge ONLINE)」をスタートした。

 

 『Wedge』は新幹線を利用するビジネスパーソンに向けて時事の話題などを発信するビジネスオピニオン誌として月刊で発行。新幹線搭載に加え、価格、定期刊行物コードを付けて書店などでも販売している。一方、『ひととき』は沿線の観光地などを紹介するビジュアルマガジン。新幹線の搭載が中心で一部を駅売店や書店にも卸している。

 

 書籍は年間15点前後を刊行し、稼働点数は186点。ビジネスや政治・経済などジャンルは幅広く、特にJRグループに関係した書籍が人気だ。

 

 最近では、引退で注目を集めた新幹線のお医者さんとして知られるドクターイエローを題材にした『922・923形ドクターイエロー御朱印帳』(B6判変形、48ページ、定価3080円)を昨年9月に発行し重版。また、テレビCMなどでお馴染みのJR東海のキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」の30年を記念した写真集『「そうだ 京都、行こう。」の30年』(B5判変形並製、192ページ、定価2640円)を発行。

 

 

 

 今年2月にはJR東海「いざいざ奈良」キャンペーン3周年を記念した『いざいざ奈良 御朱印帳』を発行。いずれもファンからの引き合いが強い。

 

 

電子書籍は過去作品含めほぼ刊行

 

 電子書籍化は2013年に開始。ここ数年は、著者の許諾を得た新刊は基本的に電子版も同時刊行しており、過去に刊行したものも組版データがないものなどを除いて電子化をほぼ完了している。刊行点数は202点、書籍売上の1割程度を占めるまでになった。

 

 販路はAmazonに提供しているほか、電子取次のメディアドゥ経由で各電子書店などに卸している。

 

 2011年 に刊行した齋藤孝著『図解 論語』(四六判並製、228ページ、定価1320円)は、紙版も昨年11刷とロングセラーたが、電子版も毎月一定数が売れ続けている。「これが電子書籍の良さだと思います。刊行から時間がたって紙版が品切れになっても電子は売れ続けます」とデジタル事業推進部リーダー・菊地原早希さん。

 

PUBNAVIで「売上集計」「印税計算」2つの課題解決

 

 電子書籍の点数と売り上げが拡大する一方で、電子書店や電子取次ごとにフォーマットが違う売上レポートを管理するための手数や、年2回の印税支払いの作業が煩雑になるといった課題があり、「システム化がテーマとなっていました」(デジタル事業推進部リーダー・前林寿尚さん)。そこで二つの課題を解決できるPUBNAVIを導入した。

 

 導入によって、電子書店や電子取次の売上レポートをそのまま取り込み、基幹システムと連携することも可能になった。また、Excelで集計して郵送していた印税明細は「指を何度か動かせばできてしまう」(前林さん)ようになり、半数はメールで送信している。

 

 菊地原さんは「駅構内の店舗やネット書店、そのほかの施設など多様な販路の売上から、書店も含め、紙・電子の書籍、雑誌の実売データを一元管理することができました。かつ、これまで煩雑な作業で時間を要した電子書籍の印税管理も格段に業務効率化し、PUBNAVIを入れた最大のメリットになりました」と述べる。

 

 また、導入に際しての光和コンピューターの対応については「各社の様々な仕様のデータ形式の取込方法の相談や、初期設定等で不明点があってもオンライン打合せやメールで丁寧に対応してくださり、手厚いサポートに感謝しています」と話している。

 

 今後について「オーディオブックなど新しい出版形態にも対応する必要があるでしょう」と話す菊地原さん。そうした拡張性もあるPUBNAVIに期待している。

 


 

株式会社ウェッジ

設立:1989年(平成元年)3月20日

所在地:〒101-0052東京都千代田区

     神田小川町一丁目3番地1

     NBF小川町ビルディング3階

電話:03-5280-0522

資本金:6000万円