文化通信社セミナー2025 青山財産ネットワークス・平野雄太氏「出版社の事業承継―誰も教えてくれない!失敗事例に学ぶ落とし穴」

2025年3月31日

 文化通信社は2月26日、事業承継セミナー「出版社の事業承継―誰も教えてくれない!失敗事例に学ぶ落とし穴」を開催した。出版社の事業承継も多く扱っている総合財産コンサルティング会社の青山財産ネットワークス・平野雄太氏が、事業承継の実態と成功へのカギについて語った。

 

セミナーを行う平野氏

 

 「昨今、事業承継についてはインターネットや書籍でさまざまな情報があふれすぎている」と指摘した平野氏。重要な経営課題のひとつであるにもかかわらず、正確に理解するのが難しかったり、検討が不足していたりすることも少なくないという。「何が自社の事業、自身の考えに合っているのか、総合的に判断していくことが大切」と話した。

 

 平野氏は、参加者に「なぜ、事業承継が進まないのでしょうか?」と投げかけ、その問題点を解説。事業承継の選択肢は「親族」「社員」「M&A」の3つしかないこと(「廃業」もあるがあえて入れていないと説明)、社長の悩みベスト10や多方からやってくる提案への迷いなど、参加者の理解と共感を得ながら話を展開した。そして、納得感を持って意思決定するための3ステップとして「知る、考える、話し合う」を掲げた。

 

 「出版業界における事業承継の実態」として、事業環境が大きく変化していること、出版事業の落ち込みを不動産賃貸業で補完している企業が多いこと、自社株の評価額が高く承継の足かせになっていること、業界内でのM&Aが活発になっていることを挙げた。また、出版業界は市場規模が右肩下がりになること、赤字決算率が過去最多であること、約2社に1社で後継者が不在であることを説明した。

 

 では、納得感のある事業承継を実現するためにはどうしたら良いのか。「事業承継の選択肢と従業員の雇用や株式の引き継ぎなどの項目を、それぞれ単独ではなく同じ土俵で比較検討することが大切」だと述べた。参加者には、ここで項目が記入されたアンケートに答える時間をとり、自社の理想的な事業承継の検討順位について考えるかんたんなワークショップが行われた。

 

 さらに「失敗事例から学ぶ事業承継成功のカギ」として、過去の失敗事例3つの中から参加者の支持が多かった「それって本当に正しい対策? メインバンクの提案を鵜呑みにした、部分最適な対策の末路」と「こんなはずではなかった…従業員のモチベーションを高めるつもりが思わぬ落とし穴に」の2つの詳細を紹介した。

 

 そして、失敗事例からの学び、今すぐやるべきこととして、自社の立ち位置と将来性を客観的に知る、後継者候補の意思確認を行う、後継者が承継しやすい環境を整えることを提案した。

 

今セミナーは会場で開催された

 

〈今後のセミナー〉

4月17日(木)15:00〜16:30 大垣書店・髙田恭行氏による「大垣書店(京都)の仕入現場から―これから書店が目指す方向と出版社に期待すること」

申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4314145

 

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