新潮社は3月21日、西日本新聞社(福岡市)の宮崎拓朗記者による調査報道を本にした『ブラック郵便局』が2月17日の刊行から1カ月で、3刷の重版が決定したことを発表した。
配達員によって捨てられた大量の郵便物。手段を選ばない保険営業や相次ぐ横領や詐欺──。2007年の民営化以来17年、2万4000局、従業員30万人超の巨大組織で何が起きていたのか。調査報道大賞など数々の賞で顕彰された宮崎記者が、6年以上をかけて取材した。
著者の宮崎記者は、1980年生まれ、福岡県福岡市出身。京都大学総合人間学部卒。西日本新聞社北九州本社編集部デスク。05年西日本新聞社入社、長崎総局、社会部、東京支社報道部を経て、18年に社会部遊軍に配属され日本郵政グループを巡る取材、報道を始めた。「かんぽ生命不正販売問題を巡るキャンペーン報道」で、第20回早稲田ジャーナリズム大賞。「全国郵便局長会による会社経費政治流用のスクープと関連報道」で、第3回ジャーナリズムXアワードのZ賞、第3回調査報道大賞の優秀賞を受賞。
新潮社は新刊『ブラック郵便局』について、「街中を駆け回る配達員、高齢者の話に耳を傾け寄り添うかんぽの営業マン…。市民のために働いてきた局員とその家族が、疲弊しきっている。異常すぎるノルマ、手段を選ばない保険勧誘、部下を追い詰める幹部たち。そして、既得権保持を狙う政治との癒着――。窓口の向こう側に広がる絶望に光を当てる執念の調査報道」と紹介している。