インターネットで本の情報が拡散し、ベストセラーになることは珍しくない。著者も自らSNSで情報発信して、著書を拡散することに積極的だ。もはや、最も有効な出版物のプロモーション手段として定着しているといえる。
ただ、これまで「動画」が使われることは少なかった。もちろん、書籍プロモーションに動画配信を活用するケースはあるし、効果を発揮する例も見られたが、動画を作成する手間やコストもあって、まだ一般的といえるまでにはなっていない。
アメリカには、「ブックチューバー」と呼ばれる人々がいる。動画配信サービスのユーチューブを通して本を紹介する、日本でもおなじみのユーチューバーの本版である。彼らが紹介した本がベストセラーになり、熱烈なファンを持つカリスマブックチューバーも多い。
業者向けブックフェア「BOOK EXPO AMERICA」の会期後半に開かれる読者向けイベント「BookCon」の会場では、こうしたブックチューバーのイベントを目的に、多くの読者が集まる。特にティーンエイジャーから30~40代のミレニアル世代の女性層には大きな影響力を持つようだ。
日本も来年には5Gが始まり、ネットで動画配信が増える。新たな環境で本を紹介してくれるブックチューバーが数多く登場することを期待したい。
(星野渉)