出版社合同の「書店向けWeb商談会」は10月に2回目が開かれ、第1回を大きく上回る出展者149社(第1回は49社)と参加者235人(同104人)が集まった。今後、報告書を公開し、商談件数・金額が多かった出版社のノウハウを共有するなど、出版業界のDXを進める原動力のひとつになりそうだ。
この企画を呼びかけた三芳寛要氏が社長を務めるパイインターナショナルは、デザインや美術などの書籍が多く、全国の書店を訪問して受注する営業活動で知られている。新刊で委託配本の割合は2割にとどまるという。だからこそ、コロナ禍による移動制限に強い危機感を持った。
商談会の出展者には、連絡のためコミュニケーションツール「SLACK」の利用が義務づけられた。すると、そのやりとりから、商談会の内容にとどまらない、「図書館員向け販売サービス」「児童書共同ダイレクトメール」「Web合同注文書」といった新しい販促手段やツールが生み出されているという。
もしかしたらそれまで「Zoom」や「SLACK」なんて聞いたこともなかったという参加者もいたかもしれないが、危機感に迫られて、実際にそうしたツールを使い、集まり議論することで、課題を解決する方法を見つけ、新しいもの生み出すことに繋がったといえる。まさに出版営業DXの現場である。
【星野渉】