昨年は新型コロナによって大きな打撃を受けた業界も多いが、出版市場はプラス成長となった。特に大ヒットした『鬼滅の刃』があったコミックスの売れ行きは絶好調で、紙のコミックスが24%増、電子コミックは31・9%増と、いずれも大きく伸びた。
19年のコミックス販売額は1665億円だったので、24%増だと2000億円を超える。一方の電子コミックは3420億円に達した。合わせると5500億円近くとなり、出版市場1兆6168億円の34%を占める。
週刊『少年ジャンプ』が650万部という最多部数に達した1995年のコミック市場は過去最高の5864億円。このときの出版市場全体に占めるコミックの割合は22・6%だった。
その時期に比べてコミックの占有率は10%も上がっている。これは電子書籍の登場による効果が大きい。デジタル化の流れの中、出版コンテンツでコミック(マンガ)が最も新しいメディアと親和性が高いからだ。そのマンガを質量ともに最も豊富に持つ日本の出版産業だからこそ、これだけ大きく電子出版市場が成長しているのだ。
継続性が重視される統計は、新しい環境に対応しにくい。しかし、これからは書籍、雑誌という流通上の区分だけではなく、電子と紙を合わせた文字、コミック、定期購読といった分類も加えたらどうかと思う。
【星野】