【行雲流水】文化通信2021年6月14日付

2021年6月14日

 某月某日

 『味の手帖』巻頭、「茂木友三郎対談」で日本経済新聞社前会長の喜多恒雄顧問のお話しを伺う。

 社長に就任し最も重視していたのはグローバル化であったと言う。人口減少の中、読者の数を増やすためには、世界のデファクトである英語の媒体を持たなければならないと、「企業としてのサイズもカルチャーもよく似ていて昔から好きだった」『フィナンシャルタイムズ(FT)』の買収に動く。

 「日経にとって最大のメリットはFTが持つブランド価値と彼らが進めていたデジタル化を全て日経の中に取り込むことができたこと。今日デジタル化が進んでいると評価されるのは、FTを買収した効果が非常に大きかった」と。

 次の世代を見通し辣腕を振るわれた喜多さん。今月23日に(社)日本経済研究センターの会長に就任される。スパゲティでもうどんでも、麺類がお好きらしい。

 某月某日 今回のオリンピックに招致活動から深くかかわっているポン友と久方ぶりにノンアル・ランチ。開催を前提に続々と来日する関係者の対応に忙殺されているが、無観客での開催となった場合は"モトが取れない"とぼやいている。

 私自身は、延期できないのであれば実施すべきと思っている。このスポーツの祭典は、第一義にオリンピックを目標に努力してきたアスリートのものだからだ。来日する選手・関係者は全員ワクチン接種済みなのだから、自由に行動し大いに楽しんでほしい。未接種の人は入国させず、未接種の人が集う機会を制限すればいい。「マンボウって言葉、東京都では使ってないんです」とご説明されるより、「パブリックビューイング、東京都ではやらないんです」と話すべきだったと思うが。

 某月某日 弊社75周年記念シンポジウムで司会進行をお願いする南美希子さんとランチミーティング。南さんには『味の手帖』でかれこれ16年以上連載していただいていて、洒脱なコラムのファンは多い。

 20日から始まる「こどものための100冊」のカタログをお渡しすると、自宅には1万冊以上の絵本があったと聞いてたまげる。果たして今、息子殿は?と水を向けると、「青山学院大学では4年連続首席で卒業後起業しました。9か国語を操れるのもゲームから遠ざけ、毎晩絵本を読み聞かせた影響と、本人も自覚しています」と。遅かりし由良之助⋮である。

【文化通信社 社長 山口】