某月某日
積読していた「カラスのいいぶん」(童心社)をナナメ読みする。
クルミを車に轢かせて中身を食べる、蛇口をひねって水を飲む、箱を開けて生卵を掠め殻の痕跡を残さないなど、遊び好きな8歳の子供並みの知能を持つといわれるカラスの賢さを、筆者・嶋田泰子さんが自らの観察体験で綴る大人も楽しめる児童書である。
かつて『味の手帖』の対談で、宮内義彦さんと櫻井よしこさんがお2人揃ってカラスは賢くてカワイイと、石原都知事による大量駆除に憤慨されていたことを思い出す。私自身も最近はラウンド中カートから離れた隙に、器用にチャックを開けておやつを持ち去られても、「クロちゃんやるなぁ」と寛容になった。加齢のせいか?
某月某日
「こどものための100冊」キャンペーンの記事が日本経済新聞朝刊の読書欄「活字の海で」に大きく掲載される。尾上菊之助さんや内田恭子さんの選書メッセージも紹介され、キャンペーンのスタートにあたり大きなエールをいただいた心持ちである。書店や図書館で5万部配布されるほか、大手保育園や幼稚園、幼児教室などで7万部の配布が決定しているが、加えて赤ちゃん本舗の通販購入者に対する配布も加わり、合計15万部の発行となった。
短期間でこれほどまで多くの賛同を得られたのは、「こどものため」という呼びかけが大きな共感を呼んだからであろう。一人でも多くの子どもたちが知的な冒険の旅を楽しむきっかけとなってほしいと願うばかりである。
某月某日
梅雨の間隙を縫って群馬県太田市にある八幡太郎義家の孫で新田氏の祖、源(新田)義重の墓参りに。“歴女”の母によれば、母の生家・江田家の祖・満氏は、義重の曾孫で徳川家の遠祖とされる得川義季の孫であるという。
赤い糸を感じた話がある。妻の祖父に鹿児島から嫁いできた祖母の家も、島津公の命で改名する前は江田姓で、調べると同じルーツであったこと。そして親しくしている正田醤油・正田隆社長のご先祖も義重の家臣、生田義豊であることを最近知ったことである。
午後、栃木県立美術館に足を延ばし、「岩田色ガラスの世界」を鑑賞。岩田藤七・久利・糸子の作品が放つ幻想的な彩色美を堪能する。実はこの岩田家も妻の父方の遠縁にあたるらしい。「縁尋機妙・多逢聖因」を実感する一日となる。