【出版時評】変化の速度早まり意識に格差も

2021年9月27日

 緊急事態宣言の解除に向けた検討が進められているようだ。政治的な思惑と感染拡大防止の慎重な判断がせめぎ合っているのだろう。このところの急激な感染者減少は、専門家にもはっきりとした理由がわからないらしいが、これまでのことを考えると、解除されたからといって、一安心ともいかないだろう。

 

 9月中旬に予定されていた「BOOKEXPO」をはじめとして、例年秋から冬にかけて開催されてきた業界の会合もほとんどが中止されている。

 

 すでに新年の会合も中止を決めているケースがあるが、緊急事態宣言の解除でこの流れは変わるのだろうか。 一方で、コロナ下ではあっても、出版業界の変化や再編の動きは加速している。こうした変化の流れが元に戻るとは思えない。

 

 年末から来年にかけて再び人々の行動が変容すれば、さらに変化のスピードが上がるのではないか。

 

 外に出て人に会う機会が減った分、変化の速度を実感しにくい。そういう意味で、触れている情報によって認識や意識に格差が生じる可能性もある。この時代にその格差はかなり重要な意味を持ちそうだ。

 

 情報を扱う我々としては、日々起こる変化の兆しをいかにわかりやすくお伝えするか。その責任はますます重くなっていると自覚したい。

【星野渉】