【出版時評】「独立系書店」と「個人書店」の関係

2021年10月12日

 「独立系書店」とは規模の大小ではなく資本が独立した書店のことなので、従来型書店の多くも最近できた個人書店も含まれる。個人書店でも取次と取引しているところもあるので、両者を取次取引の有無で分けられるわけでもない。従来型と新顔の差は、以前からいたかどうかぐらいか。

 

 これまで日本の書店を代表してきた日本書店商業組合連合会は、主に従来型独立系書店のオーナーが役員になって運営してきた。そこには新規に参入した個人書店の姿はない。しかし、書店組合が組合員を増やすためには新規参入者を取り込むしかないし、徒手空拳で参入する者にとって先達のサポートがあれば心強いはずだ。

 

 アメリカでは新旧含めて独立系書店のほとんどが書店組合(ABA)に加入しているので、ここ10年ほど新規に書店を始めた若者が加入して会員数が増え続けている。ABAが開業支援や教育事業に力を入れるのもそのためだし、参入者は「ABAのコミュニティーがあるから若い人が書店を開くことができる」と話す。

 

 業界の仕組みや制度などを小規模事業者が単独で変えるのは難しい。同時に新しい仕組みは新たな発想がなければ生み出せない。そんな双方の利害が一致するような形で、日本の書店組合も活性化できないかと思う。         

 

【星野渉】