先日、NHK「クローズアップ現代+」で詩人・茨木のり子さんを取り上げていた。戦後を代表する詩人と知っていたし、書店に多数の著作が並んでいるのも目にしてきたが、これまでなぜか手に取ることがなかった。番組の冒頭、73 歳の時に発表した『倚りかからず』の一部が読まれ、こんなに力強いメッセージを発する人だったのだと驚かされた。
詩を書く理由として、自分を叱咤激励する意味もあるという。戦争の大義に引きずられた自身を振り返り、「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」と訴える。自身の価値観を大切にしたいというメッセージが、いつの時代でも、とくに若い人たちの心を打つのだろう。
放送のあった週末にふと立ち寄った古書店で、茨木さんの本が1 冊だけ置いてあった。それがなんと『倚りかからず』。こういう出会い方もあるんだなと、財布を取り出した。何度か読み返したら娘に手渡そう。
【櫻井】