【出版時評】いよいよ拡大するか、オーディオブック市場

2022年2月1日

 オーディオブックの動きが活発になってきた。アマゾンは日本でオーディオブックの聴き放題サービスを開始すると発表し、オトバンクは公共図書館や法人向けの聞き放題サービス開始を相次いで発表した。

 

 コロナ下の巣ごもり需要は紙の本、電子書籍とともにオーディオブックでも発生した。多くの人がスマートフォンを持ち、有線無線のイヤホンを耳にするなど環境は整っていた。あとはキッカケということであろう。

 

 かつて自動車で長時間移動するアメリカでは移動中に車の中で聞く需要があるのでオーディオブックに大きな市場があったが、公共交通機関中心の日本では難しいといわれた。コンテンツも文芸書などが多く、江守徹さんや岸田今日子さんなど名優による重厚な朗読が中心だったように思う。

 

 しかし環境が大きく変わり、音声を聞くことが容易になった。オーディオブックも隙間時間を埋める有力なコンテンツになるということであろう。中国では1日に5分間聞き続けることで習得できる教育コンテンツなどが大きく成長しているという。

 

 コミックは電子化によって読者層を年齢、性別、さらには国境を越えて大きく拡大しつつある。文字ものコンテンツも音声化によって購買頻度や読者層を多く広げる可能性を秘めている。         

 

【星野】