【行雲流水】文化通信2022年2月15日付

2022年2月15日

 某月某日

 出版文化産業振興財団・近藤敏貴理事長と書店議連幹事長・齋藤健衆議院議員による小社の「新春フォーラム」を開催する。

 齋藤さん、「書店の減少は文化力、ひいては国力の衰退に繋がると感じている。Amazonがシェアを伸ばし、著者が今売れるものばかりを志向するようになるとおかしなことになる。文化安全保障の問題として国がきちんと対応するべきではないか」と舌鋒鋭い。

 図書館についても、新刊の貸し出しが書店の売り上げにどの程度影響しているのか調査すべきと。私自身は図書館も書店同様、目利きされた本との「出会い」と、一読し購入判断できる場であると思っている。確かに出版・書店業界にとってマイナス面もあるがプラスに作用しているところもある。むしろ、買いたくなったら近隣の書店から取り寄せられるサービス連携を検討してもいいのでは?

 某月某日

 『味の手帖』の取材で、トップコート渡邊辺万由美社長、スポーツ庁長官・室伏広治さんとランチ。スポーツマンらしくまっすぐで飾らない好漢47歳、カッコイイ。

 「震災を境にスポーツに対する見方がガラリと変わりました」と。へこたれない、あきらめない、といったスポーツのもつ精神性が共感を呼んだということだろう。震災=阪神淡路?と返したら、世代が違った!東日本大震災だった。95年、阪神淡路大震災の年にリーグ優勝したオリックスの選手が付けていた「がんばろうKOBE」。理屈抜きにオリックスを応援した多く人のチカラがあった。

 コロナ禍にあって自宅で簡単にできる筋トレに紙風船がいいと。両手で潰さないように、足で踏んで破らないように渾身の力を込めると、「負荷をかける」筋肉ではなく「制御する」筋肉が鍛えられるという。これは痩せるかも。

 某月某日

 『文藝春秋』2月号に載っている同誌100周年記念企画インタビューで、GMOインターネットグループ・熊谷正寿代表が画像や動画などを保有者限定のコンテンツとする「NFT(Non-FungibleToken=非代替性トークン)」の将来性を熱く語っている。

 これまでだだ洩れだったコンテンツに所有権が設定でき、二次・三次マーケットでの売買で印税を課す仕組みも可能になる。例えば100冊だけ発行する一冊100万円のデジタル美術書や写真集、小説…。様々に可能性は拡がる。