コロナ禍では世界中の書店が大きな影響を被った。欧米諸国では政府によるロックダウンが行われ、書店も例外ではなく、数カ月にわたって休業を余儀なくされたところも多かったようだ。書店に休業要請が出されず、巣ごもり需要を取り込めた日本は、むしろ恵まれていたのかもしれない。
書店が休業せざるを得なかった国では、当然、オンライン販売の比率が増えたようだが、その中で、書店のオンライン販売も大きく伸びたという。
アメリカの書店組合(ABA)によると、オンライン販売が書店の収入の30%を占めるようになったという。ドイツの独立系書店からも、同様にオンライン販売が30%に達したという報告があった。
ABAは以前から、会員の独立系書店に向けて、オンライン販売をサポートする「インディーコマース」というサービスを提供しており、これを利用して自社サイトを開いた書店の販売が伸びたのだ。「インディーコマース」のデータベースや受注、商品発送などバックヤードは書籍取次のイングラムが担っている。
ABAでは、各書店がオンライン販売を効率化できるように、システム会社が提供するPOSシステムと「インディーコマース」の連動を進めている。厳しい中で、書店のDXを進めているのである。
【星野渉】