某月某日
『味の手帖』巻頭、「宮内義彦対談」でコーエーテクモホールディングスの襟川恵子会長・陽一社長夫妻とランチ。83年、陽一社長32歳の時にクリエイター「シブサワ・コウ」として世に出した「信長の野望」はバージョンアップを重ね今年16作目をリリースする。「三国志」などとともに同社の確固たる基盤を築いた歴史シミュレーションゲームは海外でも人気で、マネジメントの教材として大学や企業で利用されているらしい。
学生時代の下宿先の大家の娘だった恵子さんと結婚。18歳から株式投資で稼ぐ姉さん女房から30歳の誕生日祝いに贈られたパソコンが立志伝の始まりに。恵子会長、現在も100億以上の営業外収入を叩き出し、浮沈の激しい業界にあって安定経営に貢献している。朝から晩まで部屋に籠るゲーマーと投資家の夫婦、「一緒にいないことが夫婦円満の秘訣」だとか。
某月某日
文藝春秋・中部嘉人社長を小社・星野渉専務と訪問する。中部社長、業界紙(電波新聞)に勤務した後89年に中途採用で入社。18年に経理畑からトップに抜擢されるという異例人事が話題になった。
社長就任以降様々な改革に着手する。フレキシブルな条件でデジタル化に欠かせないテック人材を採用する子会社の設立や、書き手がプリントとデジタルを自由に行き来することを目指すnoteとの資本業務提携、「文春マルシェ」等々。中途採用、非編集という経歴がこうした大胆な改革の原動力とみた。編集畑トップの飯窪成幸専務がしっかり脇を固めるこの態勢、スケールはまるで違うが小社も同様で、変革の時代に最適なペアリングなのかもしれない。
某月某日
定年後再雇用で時間に余裕ができたポン友・K君が熱海の老舗ホテルの一室を購入し毎週末釣りバカ生活を送っている。夫婦だけだと"煮詰まる"とSOSがあり、夫婦でゴルフに付き合う。
お楽しみはアフターゴルフ。前週に釣り上げじっくり熟成させた石鯛を馳走に与った後、幡个谷に本店を持つ旧知の五十嵐美幸シェフがオープンした「美虎 熱海本店」へ。五十嵐シェフが特別に出してくれた、これからメニューに載せる予定の穴子と伊豆牛と花びら茸のすき焼きが旨い。すっぽん出汁にツキノワグマを入れる「月とすっぽん鍋」と同様、山と海(川)の幸が相まみえる妙味にワインがことのほか進むのであった。
【文化通信社 社長 山口】