三省堂書店が神保町本店建て替えのため5月8日で閉店した。1981年に神田本店として開店して以来、41年間営業を続けてきた同社の旗艦店、そして日本の書店を代表する店舗のひとつが生まれ変わる。
同店の所在地は東京都千代田区神田神保町1丁目1番地。同社が1881年に古書店として創業した地であり、江戸時代に旗本だった創業家の屋敷があった駿河台に近い場所だ。世界最大の書店街である神保町の象徴的な店舗といえる。
閉店セレモニーで創業家5代目の亀井崇雄社長はあいさつで「次世代の新しい書店を目指す挑戦」と述べた。建物の老朽化や耐震対策による建て替えであろうが、書店の形が大きく変わろうとする時期でもある。
「何でもある」「最寄りにある」といったこれまで書店に求められた価値が、ネットやデジタルコンテンツの普及で大きく変わっている。そんな時代に向けてどのような店舗になるのか。3年後の新店開店が楽しみである。
紀伊國屋書店も耐震のための新宿本店リニューアルに取り組んでいるが、2027年の100周年向けて、こちらも未来のフラグシップ店を目指している。今年年末には全館の改装が完了する。日本を代表する大型書店が示す未来の姿は、書店界全体にとってのモデルになるだろう。
【星野渉】