【行雲流水】文化通信2022年 5月31日付

2022年5月31日

 某月某日

 


 食品業界のオーナー経営者の勉強会でハウス食品グループ本社・南俊哉CSR部長の話を聞く。

 


 なるほどと思ったこと、その①カレーは余らせがちな野菜など使って美味しく食べられ、食品ロス対策になっている。②同社が力を入れているレンジ対応のレトルトカレーは湯煎するのに比べ80%もCO2を削減する。ふむふむ。③製品にできなかったスパイス原料を使ったクレヨンを作っていると。これは知らなかった。

 


 図書館はSDGsのゴール16「平和と公正をすべての人に」にあるターゲット、「情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する」施設で、活字業界では講談社がSDGsの取り組み支援事業に注力している。改めて各社のSDGs対応について取材を進めていきたいと考えた次第。

 


 某月某日

 


 小社事務所を移転することにした。在宅勤務の増加でオフィス賃料相場が下落する中、現事務所の家賃が8月に更改されるのと、業界専門紙として業界内で経済循環すべきと考えていたこともある。

 


 早速、星野渉専務が神保町界隈の物件ばかり4件ほど見つけてくる。妙に仕事が早い。訊けば「一生の内に一度は神保町勤めがしたかった」と。候補を2つに絞って内覧、無理をきいてくれた「東京堂錦町ビル」に決めた。

 


 東京堂は1890(明治23)年創業、取次の草分けでもあり、戦前は最大手であったという。戦後は本の街、神保町の主要書店としても知られる。この一帯、神田の東部には旗本屋敷が並び、錦町には一色家の屋敷2軒があったことから「二色」=錦町となったらしい。来月改装し、7月頭には、心機一転、褌を締めなおして…はイマドキではないか。鉢巻を…。

 


 某月某日

 


 日曜の夕刻、新橋演舞場にて「東をどり」。昨秋は映像で上演したが、5月の定例開催は3年ぶり。第一幕は「花の春 月の秋」、第
二幕は「一陽来復」と題し、日本の美しい季節と平穏を祈る想いを長唄と清元、小唄に合わせて芸者衆が艶やかな舞を披露、眼福と耳
福にあずかる。圧巻のフィナーレは何度観ても素晴らしい。

 


 お隣で若い外国人女性が一人、身じろぎもせず見入っている。いよいよ来月には観光で訪日する外国人の受け入れが大幅に緩和される。こうした日本の誇る伝統芸能を一人でも多くの人に体験してもらいたいものである。

 

【文化通信社 社長 山口】