「本件、私は読売に同感です」―。こんな見出しの社説が5月29日付の朝日新聞に載っていた。文部科学省が2024 年度の本格導入に向けて進めている「デジタル教科書」に関する話題。デジタル教科書の導入に違和感を持っているという筆者が、同氏が着任前に出された社説に触れ、当時の論説委員室での議論は「慎重論もあったが、推進論が多かったそうだ」と明かしている。
それに続けて、ライバル紙の読売新聞が「紙を補助する活用法が有効だ」とする社説など、デジタル教科書の教育効果に疑問を投げかける記事を多く出していることを紹介。最後に「意見を異にすることが多い新聞だが、本件については、同感してしまう」と結んでいる。
ここまではっきりとライバル紙名を出すのは珍しいのでは。新聞・出版業界では「活字の学びを考える懇談会」などでデジタル教科書をめぐる議論もされている。その「追い風」にもなるだろうか。
【増田朋】