カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が出版社に向けたBOOK方針発表会を開き、AI配本を本格的に導入したことを発表した。新刊、追加、棚在庫をAIが判断して発注するという試みは、国内はもとより、世界でも珍しいのではないか。
〝金太郎飴書店〟という言葉があった。どの書店も同じような品揃えをしていることを揶揄した言葉だ。再販制度見直しで出版流通に厳しい目が向けられていた頃に、よく使われた。
かつて中小書店の多くは、人々の生活圏にあり、網羅的に本を提供することが主な役割だった。そのため、雑誌や話題書、実用、児童、文庫、コミックなど、店の規模に応じて一通りの商品が揃っていた。もちろん以前から特化した書店や個性的な書店もあったが、多くは、ある程度似通った商品構成になることが求められていたのだろう。
オンライン書店が登場したことで、網羅的な品揃えよりも、わざわざ訪れたくなる魅力が求められるようになった。それは、書店人の意思が現われた品揃えであり、それらが醸し出す雰囲気などだ。
こうした魅力を生み出すのは、人間であり、人材はこれまで以上に書店にとって重要になる。その意味で、書店が人への投資余力を得るためにDXは必須である。AIが人をサポートすることで、書店をより魅力的な空間にすることを期待したい。
【星野渉】