【つぶや記】文化通信2022年6月14日付

2022年6月14日

 「ラトヴィア放送合唱団」の初来日は2017年5月。衝撃であり感動的な一夜でした。思い描く人間の声の機能がこんなに違うのか。ラトヴィアはバルト三国の真ん中に位置し合唱と踊りが大好きな国です。ソ連からロシアへ、1991年独立。残念ながら今も続く紛争は世界各地で何人の人々が悲しみを抱えているか分からない時代です。

 

 ロシア周辺地域の人々は素晴らしい声の持ち主です。日本人がどう足掻いても太刀打ちできません。でも身体能力や言葉は違えど素晴らしいと思う気持ち、そして相手に伝えたい心は一致しています。

 

 その夜の演奏曲はロシアの作曲家ラフマニノフ(ロシア生・アメリカ亡命)の「徹夜祷」でした。地の底から生まれた祈りはこみ上げる涙で会場全体が一体となり、素晴らしい経験でした。アンコールはラトヴィア伝承歌「I was born singing」。こちらも心を揺さぶられました。音楽は力です。

 

【田中良子】