【出版時評】復活しつつある会合の先行き

2022年7月12日

 行動制限が緩和され、通勤電車の車内はコロナ前の混雑に戻りつつあるように見える。街を歩く人々の姿も、マスクを着けている以外は以前のようになったように感じる。そして、出版業界の会合も少しずつ開かれるようになっている。

 

 東北の書店グループ「GO会」の50周年を祝う感謝の会は、椿山荘に会員書店や取次、出版社関係者など300人近くが集まり、久しぶりの本格的な懇親会になった。また、小学館が広告関係者を招いて開催した感謝の会は、同社創業100周年、そして新社長のお披露目もあって、お酒こそ出なかったものの、帝国ホテルに多くの人が集まった。9月に開かれる書店新風会の地方総会(山形)の案内も来た。こうした場に参加すると、いろいろな方々、そして意外な方にも会えるし、雑談もできる。少なくとも私にとっては、こうした場が人とのつながりを作り、物事を進め、新しいアイディアを生み出すことに大いに役立ってきたのだと実感する。

 

 そんな一方で、また感染者が急激に増え始めた。重傷者や死亡する人が少ないので、いまのところ行動制限は行われないようだが、これだけ街に人々が出ているのだから、当然ともいえる。せっかく旧に復しつつある人と出会える場が、再び萎んでしまうとしたら残念だ。個人の力では如何ともしがたいことであり、なんとも歯がゆい。

 

【星野渉】