【つぶや記】文化通信2022年8月2日付

2022年8月2日

 「夏の思い出」江間章子作詞、中田喜直作曲。私のソウルソングです。懐かしい土の小道を夕飯の買い物へ向いながら、母と二人でハモリながら歩いた夏。中田喜直氏は皆さんも良くご存じの「小さい秋見つけた」「雪の降る町」など親しみやすい曲を多く手掛けています。

 

 夏の曲でもう一つ思い浮かべるのは、対照的な曲、アルマ・マーラー作曲の「蒸し暑い夏の夜」という妖艶な小品があります。作詞はドイツの小説家として有名なビーアバウム。愛の歌には珍しく、情熱的な太陽や美しい花をめでることも無く、星も出ない暗く蒸し暑い暗闇の中に愛で光を満たす。という変わった内容です。

 

 暑い季節ではなくても良いのにと思いますが、ドイツのボヘミアンと呼ばれたビーアバウムの詞にアルマはなんともロマンチックな曲を付けました。日本の寝苦しい夏が早く終わって欲しい。夏、夏と語りましたが実は夏は大嫌いです。

【田中良子】