インプレス総合研究所が電子書籍市場規模を発表した。調査結果は『電子書籍ビジネス調査報告書2022』にまとめられているが、市場は前年比14・3%増の5510億円。このうち電子コミックが同16・4%増の4660億円、文字もの等が同7・4%増の597億円だった。
出版科学研究所の調査とは対象期間に暦年と年度の違いがあるので、毎年、発表の時期がずれる。電子コミックの伸びが大きく、文字もの電子書籍も堅調に広がる一方で、定額読み放題サービスが中心の電子雑誌は縮小しているという傾向は共通しているが、調査対象や方法などの違いからか、数字には違いがある。インプレス調査は第1回が2003年と、まだガラケー向けの携帯コミックサービスが始まったころから継続しているので、その後の「電子書籍元年」やスマートフォンの普及などに伴う市場の動向を追うことができる。
この調査と、出版科学研究所調査の紙コミック市場を合わせてみると、紙と電子を合わせたコミック市場は11年に4417億円。このうち電子は514億円で比率は11・6%だったが、電子の比率は14年に20%を超え、16年に35・3%、17年に41・7%と急速に拡大し、21年は紙+電子7305億円のうち電子は4660億円、比率は前年の59・7%から63・8%に拡大している。【星野渉】