某月某日
博報堂出身でプール代表の小西利行さんを囲む勉強会。コピーライター出身らしく"欲しくなるストーリー"で数々のヒット(ときどきホームラン)を飛ばす。
例えば「伊右衛門」。本質的に美味しいと思われ語られる商品を目指し、米・味噌・醤油↓お茶を開発コンセプトとした。「日本人にとってかけがえのないお茶はサントリーでは作れません」と責任者に訴え、コラボを実現させた京都・福寿園初代の名前を冠した。
「プレミアムモルツ」では、「うまさや品質」は買う理由にならないと、「最高金賞」をシズルにして展開、「確かにうまい」というフレーズや「金曜日はプレモルの日」で一時第2位のビールに躍進させた。
書店の再生については、「本は『欲しくなる物語』そのもの。それを扱う書店にも『行きたくなる物語』が無いと人を集められない」と、ターゲットがやりたいこと×書店ができることの掛け合わせやメタバースの活用など、「人を魅了する」アイデア、事例を語った。改めてインタビューしてみたい。
某月某日
訪問先で拾った話題をふたつ。医学書院・金原俊社長(御年68歳)の「趣味」が実に多彩であり多才。スポーツではスキーのほかに、"おじさんアイスホッケーチーム"で氷上の格闘技に汗を流す。音楽はジャズ。アルバム蒐集のほか演奏も。最近は無料インターネットラジオ『AccuRadio』で主に50―60年代のジャズ・アーティストの曲をピックアップして楽しむ。そして、愛車はロータス。かつては中古のポルシェを駆る、筋金入りの車好きであった。
原宿駅から下る表参道を眺めるブロンズ新社では、今年発刊10周年となる「しろくまのパンツ」が国内累計70万部を突破、10言語で翻訳されたと若月眞知子社長。中国では「パンツ」がNGで「短パン」にしたとか。ほかにも、お祓いする神主の絵は宗教上ダメ、国旗がずらり並ぶ絵も「敵国になるかもしれないから」とダメ。これには背筋がゾクッとする。
某月某日
来年10月に閉館となる国立劇場で始まった「さよなら公演」に「通し狂言 義経千本桜」を観る。知盛、権太、忠信の三役を演じ分ける至難の業に史上10人目、尾上菊之助さんが挑む。ならず者の「いがみの権太」が親のために打つ大芝居。権太が最期に流す涙ながらの述懐に、こちらの涙腺も緩む。万雷の拍手鳴りやまず。26日まで。
【代表取締役・山口健】