田んぼが一年でいちばん輝く季節を迎えた。稲が頭を垂れ、朝の光を受けて黄金色に輝いている。自転車でその横を走っていると、時に虫をついばんでいたアオサギが驚いて飛び立ち、私は心の中で「ごめん」と謝る。
私が通う畑の近くで、30 代前半だろうか、若い人が種まきや育苗を始めたので声をかけてみた。聞くと、農業法人に勤め、自然農法によるハーブを作りたいため独立したという。ハーブというと料理や飲料に風味や彩りを添えたり、スキンケア化粧品に使われるバジル、レモンバーム、ラベンダー、タイム、ローズマリーぐらいしか思いつかない。彼が言うにはハーブは必ずしもいい匂いがするものばかりではなく、人の暮らしに役立つ植物の総称だそうだ。
さらに聞くと、販売先はいま探しているところという。若い人の行動力にうらやましさを感じるとともに、私も少しハーブを学んでみようかと刺激を受けた。
【桜井俊宏】