【行雲流水】「The Bunka News」2022年11月15日付

2022年11月15日

 某月某日

 『味の手帖』巻頭「宮内義彦対談」に同席する。ゲストは富士フイルムの後藤禎一CEO。樹木希林さんの「・・・そうでない方はそれなりに」でお馴染みの同社は、フイルム・カメラ製造で培ってきた技術の棚卸と巨額の投資により、ヘルスケアを主軸とする製品とサービスの提供に大きく舵を切った。

 今注力するスキンケアクリームは、フイルムの微粒子をコントロールするナノテクノロジーや、色あせを防ぐ抗酸化技術、コラーゲン技術を生かしたもの。そして重さ3・5㌔のポータブル X線装置も画期的。その場で肺炎などの診断が可能で、世界中の在宅医療現場で期待される商品となろう。祖業では、その場でプリントできる新世代インスタントカメラ「チェキ」が若い世代に好評。デジタル→紙、復活の兆候なら嬉しい。

 こうした"華麗なる変身"、活字業界においてや如何に?

 某月某日

 小社・増田編集長と二人で日曜の早朝、「ほんのきもちです」と「こどものための100冊」を車に満載し一路「前橋ブックフェス」へ。前日NHKで紹介されたこともあり、当日分2500冊は3時間半で配布完了。久しぶりに"最前線"の空気を味わうも、足腰が・・・。「昨日神保町でいただきました」という地元在住の女性が一緒に声がけしてくれたのは嬉しかった。活字好き、現場感覚あり。こういう人と一緒に仕事をしたいものだ。

 駐車場横にある沖縄そばの店「知花」へ。昆布と鰹で丁寧にとった出汁に群馬県産の豚の三枚肉と軟骨肉から出た脂の旨味と香り、もっちりした麺も期待以上。

 

  某月某日

 広島へ。地域書店として90年の歴史を刻む啓文社に手塚淳三社長を訪ねる。毎日更新されるスタッフのおススメ本サイトやホテル・企業向けのライブラリー事業など、攻めの経営に取り組む。同社が販売するオリジナルブレンドコーヒーが美味しい。販促に一役買う北方謙三・角川春樹・阿川佐和子各氏の写真が店頭に並ぶ。強面のお二人に阿川さんが救い。

 続いて中国新聞社で新年号インタビュー。帰りしなに頂戴したトイレットペーパーに大笑いする。印刷された紙面に「広島カープV10!」うん?よく見るとおしまいに「・・・そんな記事が読みたい」とある。ペーパーにはカープの負け試合の見出しがずらり。「苦い記憶は水に流しましょう」というオチである。詳しくは改めて紙面で。

【代表取締役・山口健】