【出版時評】2022年、注目の出来事

2022年12月20日

 今年も残すところ10日余となり、本紙も年内最終号である。恒例の重大ニュースをまとめるため掲載したニュースを追ったが、例年に比べて大きなニュースが少なかったように感じた。業界が安定期に入ったとは思えず、3年になるコロナ禍で、業界の動きが停滞しているのだろうか。

 

 そんな中で注目したのが、業界一体で推進した「秋の読書推進月間」と、議員連盟による書店支援策策定の動き、そして大手出版社3社と丸紅の合弁会社PubteXによるRFIDの取り組みだ。

 

 「秋の読書推進月間」は、秋の読書関連イベントを一連のものとして、書店や出版社、取次などが様々な販促策やイベントを企画。書店のPOSデータから販売面でも一定の効果が見られたという。初のことで課題も多かったと思うが、継続すれば社会にインパクトを与える動きにできるのではないか。

 

 「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」は来春の最終報告に向けて「中間とりまとめ」を発表。総会会場には関係省庁幹部やメディアも集まり、政策策定が見えてきた。社会全体に書店や本の価値をアピールする機会にしていきたい。

 

 メリットは大きいものの、これまで導入に至らなかったRFIDが、大手出版社が本気になったことで実現できるのか。トライアルが始まる2023年は正念場の年となりそうだ。

 

【星野渉】