朝日新聞社が『週刊朝日』を5月に休刊すると社告した。毎日新聞社の『サンデー毎日』と並ぶ1922年創刊の老舗総合週刊誌である。『読売ウイークリー』(旧『週刊読売』)が2008年に休刊しているので、戦前に創刊された新聞社系週刊誌で残るのは『サンデー毎日』のみとなる。
朝日新聞社の中村史郎社長は1月4日に発表した年頭メッセージのなかで、「どんな特ダネであっても、あっという間にネットの海の中に溶け込み、相対化されてしまう時代」と述べたが、まさに週刊誌はその荒波の影響をもろに受けている。
出版社系週刊誌はまだ10~20万部余の部数を維持しているものの、読者の高齢化が進む。取材力を生かしたネット配信で注目を集めても、ビジネスモデルが確立できているとは言えない。
先週後半は異例の寒波が全国を襲い、出版配送網も大きな被害を受けた。異常気象の増加やパンデミック、戦争など、ニュースにすべき事象はむしろ増えている。情報が「相対化」されるネット時代の新聞や雑誌にとって、いかに報道を再生産可能にしていけるのかは重い課題である。
朝日新聞社は6年後の創刊150年に向けて、今年「150年ビジョン」を作成する。「紙の新聞に依存した事業構造から脱却」を目指す同社がどんなビジョンを描くのか。雑誌の将来を考えるうえでも注目したい。
【星野渉】