某月某日
創業130周年となる北國新聞社に先月就任したばかりの砂塚隆広社長を訪ねる。営業、広報畑が長く、温厚な人柄がにじみ出る。
応接は一階。誰でも利用できる広々とした喫茶スペースもあってオシャレ度、抜群。奥の「読者プラザ」には「読者が選んだ県内5大ニュース」のサイネージが。トップニュースは、2015年「北陸新幹線開業」、最新は21年「川井姉妹『金』」で、18年は「金沢で積雪87センチ」。この冬の寒さは18年以来の厳しさで、空き家で水道管が破裂し一帯が断水するも、火元ならぬ"水元"が特定できず、復旧に手間取ったという。
砂塚社長、「気象庁は、国交省の区分けに準拠し、新潟、富山、石川、福井の4県を『北陸』としていて、『北陸地方で大雪の見込み』と報じられると、雪の少ない金沢でも宿泊のキャンセルが出るんです」と嘆く。確かに路面に雪は無く、路傍に少々ある程度だった。
某月某日
金沢から富山へ。新幹線で18分とは、近い。富山と高岡で書店を展開する文苑堂の吉岡幸治社長の運転で基幹店など5カ所を回る。
1500坪は北陸最大級の規模を誇る富山豊田店は圧巻。3割弱の面積を占める雑貨ゾーンではコスメの品揃えが充実。異なる顧客層が相乗効果を上げている。
吉岡社長、「来店したいと思うきっかけをたくさん作りたい」と、店の入り口や中央に設置したカフェには、"おひとり様席"やボックスシートを多く設置し、居心地よく過ごす空間づくりに力を入れる。手作りドーナツの店も。圧倒的認知度のミスドにどこまで対抗できるか⋮。書店業にとどまらず、様々なチャレンジを繰り出すバイタリティは止まることを知らない。
某月某日
東急の駅売店を運営する会社に出向していた頃から彼此15年来ご指導いただく東京即売の臼田隆弘社長と久方ぶりに、池袋へ。
新聞販売が落ち込む中、コロナ禍で駅売店の売り上げが激減。即売4社はどこも青息吐息だが、臼田さんの鼻息は荒い。取引先から好条件を引き出し、撤退する他社のシマを引き受ける。ドラフト1位で巨人に入団した横山忠夫さんが経営する『うどん立山』のうどんも"臼田節"も、コシが強い。
2軒目は階上のジャズバーでソニー・ロリンズを聴き、さらに下階で「反省会」。辛口の臼田さんから「『文化通信』は面白くなったよ」と言われたのは、心底嬉しかった。
【代表取締役・山口健】