本紙前号で米国の大手チェーン書店バーンズ&ノーブル(B&N)が昨年から出店を増やしているという堀鉄彦氏のレポートを掲載した。長年苦境が伝えられた世界最大書店がなぜ拡大路線に転じたのか、興味深い報告だ。
B&Nは1990年代、1000坪を超える巨大店舗に椅子やソファーを並べ、キッズコーナー、カフェを備えた「スーパーブックストア」を全米に展開。このモデルは世界中の書店に影響を与え、その後、日本でも椅子やカフェ、キッズコーナーは大型書店の定番になった。
しかし、2000年代に入り、「何でもある」巨大店舗とベストセラーの値引き販売はアマゾンとの競争にさらされ、さらにkindleに対抗して投入した電子書籍サービスへの投資が負担になるなどして業績が悪化。倒産までささやかれていた。
それが、イギリスで大手書店を立て直したジェームズ・ドーント氏をCEOに迎えたのち、業績が回復、積極的な店舗展開を始めたのである。
ドーント氏の手法は、チェーン店の仕入れ力を生かしつつ、各店舗は地域に合わせた「独立系書店化」することだといわれる。本当にドーント氏の改革で業績が回復しているとしたら多くの書店にとって朗報だ。
欧米では書籍の価格が高く、書店の粗利益率も高いが、日本でもそこを改善すればいいことになる。
【星野渉】