昨秋、父が入院した。入院中に一度夜中に呼吸が止まり病室は大慌てだったそうだが、本人は「朝起きたらなんか騒がしかった」とよそ事のように笑う。この3年間に叔父叔母3人が逝き、自身そういう年回りになってきたのだと感じていたものの、両親はいつまでも元気なものだと思い込もうとしていたか。
幸い3カ月で退院したが、今回の入院で一番驚いたのは、日ごろ父に憎まれ口ばかりたたいていた母の衰え、いや憔悴。一人になるとあまり料理をせず、食べていない様子。食材を持って頻繁に顔を出すようにした。
考えると、両親のことをあまり知らない。結婚記念日は知っているが何年だったのか?母が何歳の時に私を生んでくれたのか?(母の年齢-私の年齢で簡単に分かる)。2人のことを知ろうとしてこなかったことに、今さらながら思い至る。梅がちらほらほころび始めた。2人を散歩に誘い、思い出話を聞いてみよう。
【櫻井俊宏】