ブックエースは昨年11月にイオンタウン水戸南店を出店したが、モールの集客が3割増しになる効果があるという。これに伴って同社への出店依頼も増加。奥野康作社長はこれからも積極的な店舗展開を考えていくという。
イオンタウン水戸南はJR水戸駅から車で30分程度の距離にあるショッピングセンター。開業は15年以上前で、少々年代を感じさせる。以前も書店はあったが、厳しい状況だったようだ。同店は本を中心に、カフェ、文具・雑貨、映像・音楽・コミックレンタル、ゲーム・トレーディングカードなどで構成する複合型書店だ。内外装にはかなり手を入れ、モールのなかで目を引く存在になっている。
複合化は、出版物の低い粗利を補うための手段だが、奥野社長はより積極的な効果があると考えている。縮小が続くレンタルも、それを目的に来店する人が一定程度いて、他商材を購入することも少なくないといった傾向を、データから読み取っている。
出店に際しては、商圏の規模や利用者の意向などを自社でかなり丁寧に調査し、本の品揃えや展開方法、複合アイテムの検討などを重ねている。その結果が大きな集客力に結び付いているのだろう。
本はメディア商材の中でかなり古い(強い)存在だ。そんな商材を時代のトレンドに合わせて展開することで、書店にはまだ大きな可能性があることを感じさせる。
【星野渉】