未来屋書店は出版社に対する販売データ提供サービス「シナジーウィズ」を3月1日から本格稼働させた。これまで同社が提供してきたサービスよりも表示方法や内容を充実し利便性を向上させているというが、大日本印刷(DNP)グループとプラットフォームを共有するという点も画期的だ。
これまでも中小書店や地域チェーンが協業するなどして共同で販売データを提供することはあったが、これだけ大規模な資本関係のない書店グループが、販売データを共通プラットフォームで提供することは異例のことだ。
そこには、DNPグループが推進する出版流通改革への賛同があるという。DNPがトーハンと進めている桶川書籍流通センター(桶川SRC)の活用なども想定されているようで、連携がどこまで拡大するのか注目される。
巣ごもり需要が終息して売り上げが低迷しているのに加え、昨年からの諸経費高騰で書店経営はますます厳しさを増している。セルフレジの導入などで人件費を抑制するといった動きがある一方で、業界再編につながる動きも出てきそうだ。
未来屋書店はこのほど文化通信社が提供する「Booklink」を全店で導入した。多量のFAXを削減するのも現場の効率化のためだ。様々な慣行が見直されていくのだろう。
【星野渉】