【行雲流水】「The Bunka News」2023年3月14日付

2023年3月14日

 某月某日

 若者や子どもたちに向けた読書推進の取り組みにお力添えいただきたいと、山本泰人・中央区長を訪ねる。祖父・泰介氏は初代区長。2019年に山本海苔・副社長から70歳で転身した。大学の先輩でもあり旧知の間柄、話は早い。

 昨年末に新設された「本の森ちゅうおう」を拠点に何か考えようと、早速教育委員会事務局に繋いでくれる。さらに、わが社が多額の(希望)法人住民税を納める千代田区の樋口高顕区長もご紹介いただくことに。小社が発行する『先輩の本棚』や『子どものための100冊』を若者や子育て世帯に届けたり、選者や著者のイベントなどで手に触れるきっかけづくりができたりすれば嬉しいのだが⋮。

 某月某日

 新潟日報社に佐藤明社長を訪ねる。小社刊行の「新聞人・出版人」によれば、私と同年同月生まれの65歳。趣味は料理、クラシック音楽鑑賞、ゴルフなどとある。「私より14日先輩ですね」と挨拶する。

 「新聞社はより良きジャーナリズムを標榜するだけではダメ」と、2018年に各部局の枠を超えた新しい取り組みを推進する「総合プロデュース室」を立ち上げ、室長に就任。19年から、紙面とイベントを通じ「地域との協働と地域への貢献」を目指す「未来のチカラ」プロジェクトが全県を巡る。

 もう一つ。採用担当の女性社員が発案した、新潟から転出した若者たちに"溯上"してもらいたいと名付けた「鮭プロジェクト」にも力を入れる。県内70社近いサポート企業とともに、東京と新潟で様々な仕掛けを行っている。その効果もあってか、同社でも来年度の新卒採用枠10名に対し300人もの応募があったという。詳細は改めてインタビュー記事で。

 某月某日

 出版社社長有志など総勢9名で新潟は南魚沼市の八海醸造へ。酒蔵研修の後、同社・南雲二郎社長の旧宅広間へ。スパークリング「あわ 八海山」で乾杯、雪室熟成の日本酒、米ウイスキー、ニセコ蒸留所のジンなど、"試飲"がつづく。

 スペシャルは、「すべての酒の目標となる酒」として醸造加工技術の粋を極めた非売品「自家用大吟醸」。磨き抜かれた淡麗な味わいは、冷でも燗でもイケる。魚沼の山里の幸を使った素朴な料理と八海山の酒粕汁で盃を重ねる。

 先代の杜氏・高浜春男氏の著書『杜氏千年の知恵』(祥伝社)がお土産に。辻浩明社長が来訪するからであろう心遣いに、感服する。

【代表取締役・山口健】