某月某日
温泉エッセイストの山崎まゆみさんが、「味の手帖」での6年にわたる連載を元に『温泉ごはん』(河出文庫)を上梓。「丸の内Viron」でささやかに祝杯を挙げる。
星野渉センセイによると、かつてはこうした書き下ろしはなく、単行本から一定期間を経たのちに文庫化され、お手頃価格でロングテールの市場を形成してきた。版元各社の文庫刊行参入も相次ぎ、さらに76年から始まった「新潮文庫の100冊」キャンペーンが若年層の文庫本ニーズを拡大させた。老舗「岩波文庫」を店頭であまり見ないのは、買取条件もあって競争力を失ったのでは、とも。
阿刀田高さんをして「新刊をぽつりぽつり出しても食べるのは大変だったが、文庫本になったものが10冊を超えたあたりからやっと生活が安定した」と言わしめるほど、労多くして︱の稼業にとっても文庫本の役割は大きい。
『温泉ごはん』税別810円は「ラーメン二郎」とどっこいである。もとより比べるものではないが、やはり日本の書籍は安すぎる。
某月某日
「こどものための100冊」が納品される。3年目の表紙はピンク。22人の子育て中の著名人の半数以上がキレイなママである。
柳田邦男さんが巻頭言で、埼玉県三郷市が行う「全国家読ゆうびんコンクール」について触れられ、また小紙「ソウル通信」でお馴染みの白源根さんも「韓国の絵本事情」のレポートで「自治体の絵本に対する愛は熱い」と、「絵本大賞」「絵本図書館」のほか「絵本バス」「絵本の都市」「絵本ビエンナーレ」「国際絵本図書展」など各地自治体の取り組みを紹介している。我々も中央区と千代田区の区立幼稚園、図書館での本書の配布を皮切りに、首都圏で自治体との連携を加速していきたい。
某月某日
8年強、11万㌔を共に過ごした愛車をEVに買い替えた。リチウムイオン電池の生産による環境負荷を指摘する声は重々承知している。しかし、世界規模で否応なしに加速するEV化である。太陽光や風力など自然エネルギーへの転換を促進するためにもこの流れに掉さすことを厭うつもりはない。
パワフルな加速、静かな車内は快適ではある。一方でエアコンも電気を食うから早め早めの充電が必須となる。自宅近くの急速充電スタンドにてじっと我慢の30分で20%ほどのチャージとは…、超せっかちの私には不向きかも。